1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60870059
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
飯塚 理八 慶応大, 医学部, 教授 (70050995)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久慈 直昭 慶応義塾大学, 医学部産婦人科学教室, 助手 (80169987)
末岡 浩 慶応義塾大学, 医学部産婦人科学教室, 助手 (90162833)
名取 道也 慶応義塾大学, 医学部産婦人科学教室, 講師 (80101913)
森定 優 慶応義塾大学, 医学部産婦人科学教室, 講師 (40051552)
小林 俊丈 慶応義塾大学, 医学部産婦人科学教室, 助教授 (30051460)
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Keywords | 体外受精-胚移植 / 凍結保存 / 未受精卵 / 2細胞期 / マウス / 2段階融解法 / 電子顕微鏡 / グルコース |
Research Abstract |
卵子の凍結保存を臨床に応用する場合、体外受精-胚移植法の現状を無視する事はできない。現状では卵胞卵を採取し、授精後26〜48時間の培養期間をおいて胚移植を行っている施設が多いようである。この時間の卵は4細胞期以前であり、従来動物実験で扱われた卵のステージ(8細胞期以降)と比べるとかなりはやい時期である。また、8細胞期以降の卵子の凍結プログラムがほぼ満足すべき生存率に達しているのにくらべ、小動物でさえ、未受精卵を含む超早期卵子の凍結は困難であると言われてきた。これらの状況をふまえ、未受精卵を含む2細胞期以前の卵子の凍結法の改善を目的として実験を行った。まず凍結法について、毎分0.3℃の緩慢な冷却を-40℃まで続けた場合と、-80℃迄続けた場合を比較すると、従来いわれているように-80℃迄緩徐に冷却した方が生存率が良く、特に未受精卵では前者の方法では生存胚を得られなかった。同じ方法で8細胞期及び初期胞胚を凍結した場合、いずれの方法でも融解後の生存率に差はなかった。さらに、凍結法に比べて融解法についてはこれまで報告が少ないが、浸透圧変化を極力おさえ、移動再結晶による機械的な障害を減らす目的で、緩慢ー急速2段階融解法を検討した。結果として従来の緩慢凍結-緩慢融解法が優れていることが判ったが、凍結融解時の生存率につき、興味ある結果を得た。さらに、極めて融解後の生存率の悪い未受精卵につき、凍結保存後の透過型電子顕微鏡による超微形態学上の変化を検討し、ミトコンドリアや細胞骨格という細胞の恒常性の維持に重要な小器官だけでなく、透明体や表層顆粒という、受精現象に深い関係を持つと思われる部分にも障害をうけている可能性が示磋された。未受精卵の凍結法の改良についてははグルコースを凍結媒液に加えてその生存率を検討中である。(すべて実験動物はマウスを用いた。)
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