1985 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60870069
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
野口 俊英 東京医科歯科大学, 歯, 講師 (50014262)
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Keywords | 歯周病 / 歯肉縁下プラーク / 歯周ポケット内への薬剤の局所投与 / ハイドロキシプロピルセルロース / スピロヘータ / 運動性桿菌 / ブリーディング |
Research Abstract |
歯周病患者の歯周ポケット中に薬剤を局所投与することにより、歯周ポケット中の細菌叢にどのような変化がおこり、それに伴って臨床症状がどのように改善されるかを実際の患者で調べることが本研究の目的であった。昭和60年度はこれらの目的を遂行すべく、患者の選定と細菌の同定法などの基礎的実験を踏まえて、4mm以上の歯周ポケットを有する患者にHPCストリップスを用いた臨床実験を行った。被験者は全身的疾患を有さず、過去6ケ月間抗生剤などの薬剤を服用したことのない10名とした。HPCストリップスにはテトラサイクリンおよびクロールヘキシジンを含有させ同一患者の異なる部位のポケット内に挿入した。なお、その際コントロールとしては薬剤を含有しない薬剤のみのストリップスを用いた。ストリップスは1日おきに3回各ポケットに挿入し、その後1週ごとにポケットの深さ、ブリーディング、ならびに細菌叢の変化を3週目まで調べた。その結果、まずポケットの深さは、コントロールとクロールヘキシジンを投与した群では実験開始時と3週後で差がみられなかったが、テトラサイクリンを投与した群では3週目にポケットの減少がおこり5%の危険率で有意差がみとめられた。ポケットからのブリーディングについても同じような傾向がみられ、テトラサイクリン投与群において3週目にブリーディングの著しい減少がみとめられた。また、歯肉縁下プラーク中の細菌叢にも大きな変化が観察されたが、特に歯周病原性としての可能性が高いとされているスピロヘータと運動性桿菌がクロールヘキシジンとテトラサイクリンの局所投与によって著しく抑制されていた。これらの結果より、HPCストリップス基剤を用いて薬剤の局所投与を行うという本方法は歯周病の症状および歯肉縁下プラーク中の細菌叢の改善に大きな効果を挙げ得ることが判明した。今後さらに症例を増やしてその効果の確認を追求するつもりである。
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[Publications] 福田光男,野口俊英,他: 薬剤の歯肉縁下第28回春季日本局所投与による細菌叢の変化とそれが歯肉の歯周病学会総会. (1985)
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[Publications] 野口俊英: "う蝕と歯周病" 書林, (1985)