1986 Fiscal Year Annual Research Report
コルポスコピーの改良と生体染色法の口腔癌診断への応用
Project/Area Number |
60870072
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石田 武 阪大, 歯学部, 助教授 (50028768)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渕端 孟 大阪大学, 歯学部, 教授 (70028728)
大西 徹郎 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員
藤本 雅彦 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員
福田 康夫 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員
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Keywords | 口腔癌 / 生体観察 / 毛細血管増生能(Angiogenic activity) / コルポスコピー |
Research Abstract |
近年子宮頚癌の早期診断に積極的に利用されているコルポスコピーを口腔粘膜癌や前癌病変の観察に適したものに改良し、患部の毛細血管の分布や走向パターンを参考に、できる限り無駄なBiopsyを省くことを目的に本研究をすすめている。昭和60年度の鏡筒角度、レンズ倍率、光源装置、鏡筒固定装置の改良に加え、61年度には、観察の簡便化をはかるため、スコープをテレビカメラに接続し、観察画像をビデオ録画できるようにした。本装置を用いControlとして20才から33才までの男性12名、女性6名の健常な口腔粘膜(口唇、頬、舌、歯肉などの粘膜)の毛細血管像を観察した。その結果、口唇及び頬粘膜では深部の太い血管網から上皮乳頭部へ立ち上がってくる、ヘアピン状の毛細血管が平行に並んでいる像が観察された。舌縁部では毛細血管のループは短かく、その走向方向も不ぞろいであった。歯間乳頭では、表面の角化によるものと思われるが、毛細血管のループの先端だけが点状に並んでいるのが観察された。付着歯肉、齦頬移行部では、毛細血管の走向はそれほど整然とはしていないが口唇、頬粘膜と同様な所見であった。以上の血管走向パターンは18名の間でほとんど差は無く、血管走向の正常像と解しても問題無いと考えられる。また男女間にもほとんど差は無かった。 また、本装置を用い、口腔癌臨床例の観察を始めた。78才女性の頬粘膜に生じたVerrucous carcinomaでは、正常粘膜と比較して、毛細血管のループが消失しており、太い血管が表層まで分布し、一部に出血が認められた。 一方、昭年27年から60年まで本院で経験した扁平上皮癌1109例に関し、臨床事項をコンピューターに入力し、その集計的観察結果を61年度大阪大学歯学会総会に於いて発表し、投稿準備中である。
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