1985 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60870079
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
上野 雅晴 富山医科薬科大学, 医, 助教授 (40080197)
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Keywords | 熱 / 線溶酵素 / 活性 / 微少熱量計 / フィブリン / フィブリノーゲン / ウロキナーゼ / プラスミン |
Research Abstract |
血栓症や心筋梗塞症およびそれらに伴う炎症の治療薬としてウロキナーゼ(uk)等の線溶酵素剤が繁用されている。これ等酵素製剤の生物活性の測定方法として、フィブリン平板法、チャンドラ・ループ法、ユーグロブリン溶解時間法、二段法、合成基質法がある。前3法は、天然のプラスミンの基質であるフィブリンの溶解時間を指標とするものであるが、測定に著しく長い時間(2時間〜24時間)を要する上、測定値のバラツキが極めて大きい。また合成基質法は簡便であるが天然の基質とKn値が1000倍程異りデータの評価が難しい。現在では二段法が最も信頼性が高いとされているが、手技が複雑でルーチン測定に不適である。ここでは酵素反応に伴う熱を指標に酵素活性を評価する全く新しい方法の開発を試みた。 (1)プラスミン基質およびプラスミン、(2)プラスミン基質、プラスミノーゲンおよびukの系において酵素反応に伴う熱をフロースルーセルを用いてLKB双子型微少熱量計により測定した。脈流を極力抑えるために高速液体クロマトグラフィー用のポンプを用いた。希釈熱を除外するために、基質過剰の条件で熱感部外で混合した後ポンプにより混合液を熱感部に導入して、単位時間当たりに発生する熱量の定常値を求めた。プラスミン基質としてフィブリンまたはカゼインを用いた時、(1),(2)の両系共に発熱反応であった。フィブリノーゲンを用いた時、(1),(2)の両系共に吸熱反応であり、その絶対値は、フィブリンまたはカゼインの場合より大きかった。またプラスミンまたはuk濃度に関して直線関係が得られた。例えば0.9μj【sec^(-1)】/1unit uk【ml^(-1)】であった。あらかじめukによるプラスミノーゲン活性化に伴う熱は、事実上無視し得ることを確認していることから、この時発生する熱は、プラスミンが基質を分解する際の熱と考えられる。熱を指標にした線溶酵素の活性を評価する方法の基礎が確立した。
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