1985 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト肝チトクロムP-450の生物工学手法による生産とその臨床応用の開発
Project/Area Number |
60870095
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
加藤 隆一 慶応義塾大学, 医, 教授 (40112685)
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Keywords | チトクロームP-450 / ヒト肝 / 遺伝子クローニング / 薬物代謝 |
Research Abstract |
ヒトの薬物代謝に中心的役割を演じている肝チトクロームP-450を精製し、次いで遺伝子工学手法を用いてヒトのチトクロームP-450の遺伝子を酵母に導入、発現させることを最終目的として、それに必要な基礎的検討を行った。先ずヒトの肝より可溶化、数種のカラムクロマトグラフィーによって2種のチトクロームP-450の精製に成功した。精製標品はいずれも内因基質、テストステロンに高い活性を示し、癌原物質であるベンツピレンやジメチルニトロサミン、およびエチルモルヒネやエリスロマイシン等の医薬品に対しても活性を示した。両酵素のうち全チトクロームP-450含量に占める割合がより多いと考えられた酵素について抗体を作成し、個体差の有無を調べたところいずれの個体の肝からもこの酵素の存在が確認された。そこでまず、このP-450のクローニングを行うこととし、そのN-末端アミノ酸配列を決定した。得られた配列は現在までに知られているいずれの哺乳類肝のP-450N-末端配列とは異なっていた。そこでN-末端領域の5個のアミノ酸をコードすると予想されるcDNAの2種の14merを合成し、cDNAプローブとした。一方新鮮なヒト肝よりグアニジンチオシアネート法、オリギdTカラム等によりpoly Am RNAを得た。cDNAプローブを用いてmRNAとNorthernブロットを行ない、目的とするP-450mRNAの存在を確認したのちOkayama & Berg法によりmRNAを鋳型としてP-450のコードを含むプラズミドを作成し、大腸菌に組み込んだ。培養大腸菌よりP-450遺伝子を含むクローンを選別するため合成c-DNAプローブを用いてコロニーハイブリダイゼーションを行った。現在長いDNA鎖を持つクローンの選択を行っており、近いうちに目的とするクローンが選別可能と考えられている。
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