1985 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60880001
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
菅井 秀郎 名古屋大学, 工, 助教授 (40005517)
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Keywords | プラズマ / 不純物 / カーボン / コーティング / メタン / 核融合 / 薄膜 / 壁 |
Research Abstract |
メタンガスの放電分解によって炭素薄膜をコーティングする方法が核融合炉の不純物対策として有望視されている。最近、内外の実機(トカマク)で試行され、その効果が確認されている。このプラズマCVDにより形成されるカーボン膜は新素材であり、その物性は成膜条件に強く依存し、不明の点が多い。 我々は本年度の研究において、成膜条件を広く変化し、様々な観点から膜の物性評価を行い、多くの重要な知見を得た。 まず、基本的な成膜条件の一つである放電圧力を広い範囲(【10^(-5)】〜【10^(-2)】Torr)で変化した。この時、カーボン膜に含まれる水素原子の濃度は、圧力にほぼ比例して増した。 これは、低圧力の方が電子温度が高く、それがプラズマ中の粒子組成の変化や、イオン衝撃の増大などに結びついたためと思われる。ESCAにより膜の分析を行った所C(1s)スペクトルが圧力と共にシフトすることも見い出した。 また、カーボン膜を透過電子顕微鏡によって調べた所、微結晶らしきものが含まれており、そのサイズが圧力と共に0.2μmから1μmまで変化することがわかった。 次に、壁(基板)の温度を20℃から500℃まで変化して、コーティングを行った。 その結果、400℃以上の高温では膜中水素含有量が低下し、膜の電気抵抗率が5桁も小さくなることが判明した。膜の赤外吸収スペクトルの測定においては、【SP^3】結合よりも【SP^2】結合による吸収が見られるようになり、高温時にはグラファイト化して来ることがわかった。 また、コーティング時のイオン衝撃がカーボン膜の特性に及ぼす影響を調べるため、基板に高周波を印加してコーティングを行った。その結果、膜の硬度や密着性の向上、水素含有量の低減が見られた。更に、水素ガスでメタンを希釈した場合の効果についても調べた。
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