1985 Fiscal Year Annual Research Report
安定同位体ラベルアミノ酸の多量調整法の確立と応用技法の開発
Project/Area Number |
60880022
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
甲斐荘 正恒 東京都立大学, 理, 助教授 (20137029)
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Keywords | 安定同位体 / ラベルアミノ酸 / 蛋白質NMR / NMR / 核磁気共鳴スペクトル / 蛋白質高次構造 / 炭素-13 / チッソ-15 |
Research Abstract |
本試験研究は生体高分子、特に蛋白質の溶液内高次構造(変化)を迅速且つ鋭敏に知る新手法として、代表者が行っている安定同位体ラベル法とNMRスペクトルとの組み合わせ技法と表裏をなしている。即ち、蛋白質の各アミノ酸残基の存在状態を詳細に研究するためには、選択的に安定同位体ラベルしたアミノ酸を組み入れた蛋白質の多量調製が必須となる。NMRスペクトルの特性を活かすためには、天然存在比の低い同位体(【^(13)C】,【^(15)N】)ではラベルによりシグナルを特異的に増大するアプローチが、【^1H】のように存在比の大きいものは重水素化による不要なシグナルの減少・除去をはかるアプローチが有効である。我々の多年に渡る経験から、この種のアプローチに最も重要な因子の一つには、安価・多量に安定同位体ラベルしたアミノ酸を得ることの可否にあることは明白である。従って、NMRスペクトルによる蛋白性プロテアーゼ・インヒビターSSIの高次構造の研究を進めつつ、我々の研究手法の一般化を念頭において安定同位体ラベルアミノ酸の多量調製法について検討を開始した。カルボキシル基を選択的に【^(13)C】ラベルしたアミノ酸は〔【^(13)C】〕シアン化ソーダを出発原料にして実験室規模での最適合成法をマニュアル化した。現在までに、アスパラギン酸・アスパラギンのα-カルボキシル基ラベル体を除く全アミノ酸を、少なくとも数グラム規模で合成することに成功している。このようにして多量合成したアミノ酸を用いてSSIの構造研究を並行して行い多くの重要な知見を得ている。さらに、カルボニル炭素シグナルの帰属を側鎖原子団へと拡張するために必要となる、全ての炭素を均一・高濃度に【^(13)C】ラベルしたアミノ酸を調製する方法の確立に向けて、幾つかの異なるアプローチを試みた。次年度においては、安定同位体ラベルした培養菌体から各アミノ酸を分離精製する手法を含め均一ラベルアミノ酸の一般的な調製手法を確立させる。
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