1985 Fiscal Year Annual Research Report
ビームフオイル法による短寿命核のスピン偏極とNMR
Project/Area Number |
60890008
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
南園 忠則 大阪大学, 理, 教授 (20028210)
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Keywords | ビーム・フォイル / 短寿命核 / 非対称ベータ崩壊 / スピン / バナジューム / 格子間隙 / 偏極 / NMR |
Research Abstract |
ビーム・フォイル相互作用を利用して短寿命核のスピンを偏極させる装置の主要部分の設計を行い、次にこれ等の製作を終った。また短寿命核の同定と、非対称ベータ崩壊検出のための、ベータ線検出器の購入と検出器系の組立を行った。引続きこの装置の基本的な部分の試験と、斜膜法の試験を行った。この際、来年度に整備予定の装置等は手作りのテスト用の補助装置を応急的に作り使用した。試験には【^8Li】,【^(12)B】、など軽い核と【^(27)Si】のやや重い核を用いて行い、スピン偏極生成の粒子エネルギー依存性と多重フォイル依存性を調べた。その結果【^(12)B】や【^(27)Si】の反跳エネルギー、50〜100KeVの範囲では予定通りの偏極が得られた。一方基底状態がIS状態になる【^8Li】の場合も有為な偏極が得られて、ビーム・フォイルの間の相互作用後の原子励起状態がこの生成機構に大きく関与している事が判明した。また多重フォイルの使用によって偏極が積増するが、この依存性が示された。 一方偏極生成の試験と同時に、短寿命核の捕集と偏極保持がNMRのためには重要である。このためには、植込試料の選択と、この中での超微細相互作用の解明が重要となる。今回は【^(12)B】や【^(12)N】等の軽い核をV,Ta,Fe等の金属に植込み、格子点に留まった不純物や、格子間隙に留まった不純物の超微細相互作用を調べた。その結果、主に軽い不純物はbcc金属の四面体位置に留まり、近接格子を数十パーセントも押し広げていることが判明した。但し【^(12)B】の〜20%が格子点に留まり、近接格子には大きな影響を及ぼさないことも判明し、【^(12)N】との差異の解明が必要であることを新しく示した。また、強磁性鉄中の超微細相互作用解明のために、【^(12)N】の受ける超微細場の予備測定を行って、精密測定を進められる事を示した。
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[Publications] Journal of Physical Society of Japan,Suppl.Vol.50. 391 (1986)
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[Publications] Journal of Physical Society of Japan,Suppl.Vol.50. 1012 (1986)
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[Publications] Journal of Physical Society of Japan,Suppl.Vol.50. 1044 (1986)
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[Publications] Journal of Physical Society of Japan,Suppl.Vol.50. 1046 (1986)
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[Publications] Journal of Physical Society of Japan,Suppl.Vol.50. 1086 (1986)