1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61010022
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小高 健 東大, 医科学研究所, 教授 (00012691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平松 啓一 東京医科歯科大学, 歯学部, 講師 (10173262)
竹森 利忠 千葉大学, 医学部, 助教授 (60114295)
甲斐 一成 山口大学, 農学部, 助教授 (60085628)
石本 秋稔 京都大学, ウイルス研究所, 助教授 (50073127)
井川 洋二 理化学研究所, 分子腫瘍学研究室, 主任研究員 (40085618)
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Keywords | ウイルス / 白血病 / 発症機構 / 癌遺伝子 / 再構成ウイルス |
Research Abstract |
近年癌遺伝子及びウイルスゲノムについては精細な分子生物学的知見が集められているが、白血病の発症機構は十分に解明されていない。本研究班の目的は集積された分子生物学的知見をふまえた上でマウス及びヒトのウイルス性白血病の発症機構を解明しようとするものである。 本年度の研究実績は下記の通りである。 1.標的細胞のウイルス感受性を決定するFv-2遺伝子の産物をとらえる手段として、ラットを用いて特異的抗血清の作製を試みたが成功していない(小高,甲斐)。 2.F-SFFVの3'側の一部をヘルパーの対応部分と交換して再構成ウイルスを作ったところ、産生される糖蛋白の性伏に変化を生ずるとともに発病力を失った。このウイルスから復帰して発病力をもったウイルスは塩基配列に変化を生じている。現在発病力との関係を検討中である(井川)。 3.F-MuLVがラットに白血病を起す場合に、特定の染色体上の位置に組み込まれるか否かを検討したがまだ結論を得ていない(石本)。 4.HTLV-1ウイルスを組込んだヒト細胞では組込まれたウイルスゲノムの数が次第に増加する。この際一時的な核外遺伝子の出現があることがわかった。このようなゲノム増加が腫瘍のprogressionに関係するものと考えられる(平松)。 5.A-MuLVの温度感受性変異株をとり、Bリンパ球をトランスフォームさせた。この細胞は低温では末熟細胞であるが高温で培養すると、ウイルス癌遺伝子の活性低下、細胞癌遺伝子c-mycの発現減少、免疫グロブリンの産生がおこる(竹森)。この実験系は腫瘍化と分化、あるいはウイルス性癌遺伝子と細胞性癌遺伝子との関係を知るために、好適なモデルになると期待される。 6.外来性ウイルスと内在性ウイルスとの組換え型ウイルスは集蒐中である(甲斐)。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] K.Kai;H.Sato;T.Odaka: Virology. 150. 509-512 (1986)
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[Publications] A.Ishimoto,et al.: J.of Virology. (1987)
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[Publications] K.Hiramatsu;M.Masuda;H.Yoshikura: Int.J.Cancer. 37. 601-606 (1986)
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[Publications] K.Hiramatsu;H.Yohikura: J.of Virology. 58. 508-512 (1986)
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[Publications] K.Hiramatsu;J.Nishida;A.Naito;H.Yoshikura: J.gen.Virology. 67. (1986)
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[Publications] T.Takemori;I.Miyazoe;T.Shirasawa;M.Taniguchi;T.Graf: EMBO. (1987)