1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61010025
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松沢 昭雄 東大, 医科学研究所, 助教授 (50012745)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 昭 京都大学, ウイルス研究所, 助手 (50127148)
堂福 隆一 (財)がん研究会, 研究員 (50099975)
岩口 孝雄 (財)臨床医学総合研究所, 部長 (40085634)
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Keywords | マウス乳癌 / ホルモン / 自律性増殖 / 進展 / 悪性化 / プロMMTV / 染色体 / 染色体異常 |
Research Abstract |
妊娠依存性乳癌(TPDMT-4;T-4と略)の自律性癌への進展が反復酵素処理継代移植により著明に促進され、プロMMTVの組込み部位の増加を伴っていた。また自律性乳癌は化学療剤サイクロフォスファマイドによる反復治療により、抵抗性を獲得し、増殖速度を増し、これに伴ってプロMMTVの増幅が起った。この結果から乳癌の悪性化でMMTV遺伝子が関与していると考えられた。しかし、ホルモンによる自律性癌への進展促進では、プロMMTVの変化が観察されず、この進展現象をMMTV遺伝子のみで説明することは困難である。サイクロフォスファマイドおよびホルモンによる進展促進では、染色体の変化がみられたので、別の遺伝的現象も関与していると考えられる。この点を解明する目的で、T-4乳癌の進展に伴う血管新生能力をウサギ角膜法を用いて検討した。T-4乳癌自体の血管新生能は低く、正常妊娠乳腺と同程度で、T-4乳癌が正常乳腺に近い前癌病変的性質をもつという従来の結果が支持された。酵素処理による進展癌では、この能力が低いままで、ホルモンによる進展癌では有意に上昇したが、C3Hマウスの自律性乳癌より低くかった。このことは進展機構に差があることを示唆している。別の悪性癌への進展の指標として、癌細胞静脈内注射による肺コロニー形成能を調べた。1回酵素処置による進展癌は肺コロニー形成能を欠損していたが、ホルモンおよび反復酵素処理により得られた自律性癌は強いコロニー形成能を示した。このことからも、プロMMTV組込み部位の増加や染色体の異常が進展による癌の悪性化に強く関係していると考えられた。これらの癌の進展に伴って、まずプロジェステロンリセプター合成能が失われ、エストロジェンリセプターは、まず核内での機能発現の異常が起り、それが細胞質に及びリセプターの欠損へと拡大する。最も進展が進んだ悪性自律性癌では両リセプターの欠損が起る。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] AKio Matsuzawa: International Review of Cytology. 103. 303-340 (1986)
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[Publications] Akio Matsuzawa;Tsuyoshi Hayakawa;Takao Iwaguchi;Shoji Takitani: Endocrinology. 119. (1987)
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[Publications] Tsutomu Oikawa;Akio Matsuzawa;Takao Iwaguchi: British Journal of Cancer. 54. 91-96 (1986)
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[Publications] Tsutomu Oikawa;Takao Iwaguchi;Mikio Kimura;Akio Matsuzawa: Chemical and Pharmacological Bulletin. 34. 789-797 (1987)
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[Publications] 松沢昭雄: 日本臨牀. 44. 289-294 (1986)
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[Publications] 松沢昭雄,武田泰隆: 病態生理. 5. 482-484 (1986)