1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61010046
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森 武貞 阪大, 医学部, 教授 (60028496)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
喜納 勇 浜松医科大学, 医学部, 教授 (60010211)
藤田 晢也 京都府立医科大学, 教授 (00079716)
北村 幸彦 大阪大学, 医学部, 教授 (70028520)
武藤 徹一郎 東京大学, 医学部, 助教授 (20110695)
笹野 伸昭 東北大学, 医学部, 教授 (00004531)
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Keywords | 大腸癌 / 集学的研究 / 分化抗原 / 小腸腺化生 / 粘液組成 / 核DNAパターン / autoradiography / H抗原 / 癌遺伝子 / monoclonality |
Research Abstract |
1.粘液組成,抗原性,レクチン反応性の点で大腸腺腫は大腸癌と非常によく似た形質異常を示したが、背景粘膜の性状を腺腫と癌の間で比較すると、non-acylated sialomucinが癌症例の背景粘膜で優勢であった。この粘液異常は腺腫症の背景粘膜にも認められた。2.大腸の小さな扁平隆起病変の中に腺腫(flat adenoma)が存在し、その癌化率は22.7%と高率で、大腸癌の発生母地としての重要性が示唆された。3.子宮頸癌で放射線治療を受けた婦人の大腸癌発生率は対照群の約20倍と高率だが、その背景となる放射線大腸炎の粘液組成には特に異常を認めなかった。4.大腸の性状粘膜,腺腫,癌のDNAパターンをみると、正常、腺腫ではdiploid,癌ではpolyploid,aneuploid,mosaicpatternが優勢であった。しかし、腺腫のdysplasiaの程度とDNAパターンとの間には明瞭な関連性が見いだせなかった。5.ex vivo autoradiographyでは、腺管腺腫の大きさの増大にともない、区画形成性の標識細胞分布が認められた。6.大腸癌組織からUEA-1アフィニテイクロマトで分離した「異常なH抗原」物質は、電気泳動、Westen bloting法での分析で分子量約20万と推定された。7.大腸癌を免疫原として作製した4種類のモノクローナル抗体のうち2種類がWestern blotting,ならびに免疫組織学的検索でCEA分子の特異な3次元構造を認識していた。8.DMHで誘発した(PgK-la/PgK-1b)F1マウス大腸癌ではA型のものが圧倒的に多いが、X線照射後の再生小腸上皮コロニーではその傾向はみられず、A型偏移の現象は発癌に関連する変化であろうと考えられた。9.v-myc、v-Ha-ras癌遺伝子をprobeとしたmRNA-DNA histo-in situ hybridizationでは、大腸癌10例中4例にmyc、2例にras遺伝子の転写活性亢進が確認された。10.日本人大腸癌症例の背景粘膜からDNA transfection assayでtransform活性のあるN-ras,raf,及びhst遺伝子が分離された。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] T.SHIBATA: CCA. 159. 27-36 (1986)
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[Publications] 森元秀起: 医学のあゆみ. 140. 769-770 (1987)
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[Publications] M.SAITO: Differentiation. 30. 211-219 (1986)
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[Publications] M.NOGUCHI: JNCI.77(2). 379-385 (1986)
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[Publications] Y.KITAMURA: Am.J.Path.122. 469-480 (1986)
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[Publications] F.ISHIKAWA: Proc.Natl.Acad.Sci.USA.83. 3209-3212 (1986)
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[Publications] 森元秀起: "腫瘍マーカー研究会記録" 腫瘍マーカー研究会, (1987)
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[Publications] 島野高志: "消化器癌の腫瘍マーカー" 関西医学検査センター, 3 (1986)