1986 Fiscal Year Annual Research Report
動物腫瘍系における温熱の制癌効果を左右する因子とその修飾に関する研究
Project/Area Number |
61010058
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
奥村 寛 長崎大, 医学部, 助教授 (00073130)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小坂 光男 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (30079983)
川崎 祥二 山口大学, 医学部, 助手 (20034952)
田中 紀元 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (20079932)
中村 弥 総合会津中央病院, 研究部長
加納 永一 福井医科大学, 医学部, 教授 (70065910)
|
Keywords | 温熱処理 / ハイパーサーミア / 癌治療 / 細胞致死 / 熱耐性 / ミトコンドリア / 体温調節 |
Research Abstract |
今年度に行った研究成果を次にまとめる。 1.温熱効果を左右する因子:温熱処理により細胞内ミトコンドリア活性が変動することが明らかになった。これは細胞周期【G_2】期の細胞分画に大きく依存し、免疫蛍光抗体染色によるDNA量の測定から細胞分裂との関係を明らかにした(川崎)。抗癌剤のペプレオマイシンとマイトマイシンは温熱効果を増感し、温熱処理によって誘発される熱耐性を阻害した。またベンツアルデヒドは毒性が少なく、熱耐性誘発を阻止した(加納)。移植後24時間で熱感受性が高くなり、その後熱感受性は元に戻った。この現象は異なる3種の腫瘍株についてみられ、熱感受性はホストによって影響されることを示した(マウス移植癌を用いた温熱処理の効果)(中村)。また、温熱処理をX線照射とを併用することによりその効果は増強し、さらにOK-432投与により免疫活性を高めると、効果は顕著に増した(田中)。 2.数理解析:得られた実験結果から温熱効果を左右する因子の定量化の数理解析を行い、効果の一般化を試みた(奥村)。しかし完成されていないので継続する必要がある。 3.温熱効果を修飾する因子:超音波照射と温熱処理を併用し、致死効果の増感を解析した。この増感効果はArrheniusプロットでのbreaking pointがない特長があり、癌治療への応用にとって利点であることを示した(奥村)。 4.個体の生理反応:ウサギを用い、温度調節機能を持つ脳視床下部を電気的に破壊し、体温調節能を解析した。その結果、耳介の皮膚血管拡張と、呼吸による熱放散能力に障害を受けた(小坂)。 以上の結果より、今年度の計画はほぼ満たされた。今後、数理解析を発展させ、効果の一般化を行うために実験を発展させる。また個体の生理反応の解析は、さらに続ける必要がある。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] Takashi KONDO: Ultrasound Med.Biol.12. 151-155 (1986)
-
[Publications] Sakae NAGAOKA: Jpn.J.Cancer Res.77. 205-211 (1986)
-
[Publications] Mariko FUJIWARA: Trop.Med.28. 301-312 (1986)
-
[Publications] Wataru NAKAMURA: C.R.Soc.Biol.180. 128-133 (1986)
-
[Publications] K.OHTSUKA: J.Radiat.Res.27. 291-299 (1986)
-
[Publications] 奥村寛: 日本ハイパーサーミア誌. 2. 85-89 (1986)
-
[Publications] Yutaka OKUMURA: "Progress in Hyperthermia Oncology" Shinohara Publishers Inc., 381 (1986)