1986 Fiscal Year Annual Research Report
化学発癌過程における細胞形質発現の推移とその安定化
Project/Area Number |
61010063
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
伊東 信行 名古屋市大, 医学部, 教授 (00079956)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野瀬 清 東大医科研, 助教授 (70012747)
北村 幸彦 大阪大学, 医学部, 教授 (70028520)
中村 敏一 徳島大学, 医学部, 助教授 (00049397)
佐藤 公彦 弘前大学, 医学部, 助教授 (70003655)
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Keywords | 前癌変化 / マーカー / pepsinogen isozymel / GST-p / オートクリン因子 / ras遺伝子 / c-キナーゼ |
Research Abstract |
伊東はラットBBN膀胱癌におけるras遺伝子産物であるp-21の免疫組織化学的追求を行い、6例中4例に陽性癌細胞を認めた。また、実験胃癌において前癌変化のマーカーとしてpepsinogen isozyme 1(Pg1)の選択的低下が重要である事実を明らかにした。さらに腎細胞癌の前癌変化では好塩基性酵素変異尿細管は主部尿細管由来でgulcose-6-phosphatase dehydrogenase(G6PDH)が陽性でsuccinate dehydrogenase(SDH)が陰性を示し、オンコサイト酵素変異尿細管では遠位尿細管由来でG6PDHは陰性、SDHは強陽性を示す形質発現の変化を見出した。佐藤はラット肝GST-PおよびGST-P陽性細胞巣の発現条件を検討し、DEN投与数日後から陽性細胞が発現増加し、1〜2週後ピークに達し、さらに硝酸鉛投与によっても肝小葉全体に陽性細胞が発現するなどの新知見を得た。中村は幼若肝細胞の自律的増殖能はラット発育にともなって低下消失するが、この低下消失と平行して初代培養幼若肝細胞が分泌するオートクリン増殖因子ならびにその応答能も低下消失することを明らかにした。さらにこのオートクリン因子は、分子量1〜2万程度のタンパク質性因子で新しい増殖因子である可能性を示した。北村はras遺伝子の変化について、BBN誘発ラット膀胱癌とヒト膀胱癌とを比較し、通常のヒト膀胱癌では、点突然変異によるras遺伝子の活性化頻度は10%であるが、エジプト住血吸虫症ヒト膀胱癌では7例のすべてに見出されず、BBN誘発ラット膀胱癌でも、低頻度(1/9)であった。野瀬はヒト白血球細胞937に発癌プロモーター処理をするとC-fos遺伝子の転写が上昇することを見出し、それはc-キナーゼ活性化により誘起されるに伴い細胞膜イオン輸送の変化が起こる事実を明らかにした。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Hirose,M.: Carcinogenesis. 7. 1285-1289 (1986)
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[Publications] Hiratsuka,A.: Biochem.Biophys.Res.Commun. (1987)
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[Publications] Yamazaki,H.: Jpn.J.Cancer Res.(Gann). 77. 107-117 (1986)
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[Publications] Nakamura,T.: EXp.Cell Res.(1987)
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[Publications] Hamaguchi Y.: J.Exp.Med.165. 268-273 (1987)
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[Publications] Sato,C.: Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 83. 7287-7291 (1986)