1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61010078
|
Research Institution | Japanese Foundation For Cancer Research |
Principal Investigator |
宇多小路 正 癌研究会, その他, 研究員 (20085616)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神田 尚俊 東京女子医大, 第2解剖, 講師 (40075429)
水野 重樹 東北大, 農学部, 教授 (90112903)
宇多小路 正 (財)癌研究会癌研究所, 細胞生物部, 部長 (20085616)
|
Keywords | 遺伝子増幅 / 二重微小染色体 / 神経芽細胞腫 / 肺小細胞癌 / N-myc / メソトレキセート耐性細胞 / カドミウム耐性細胞 |
Research Abstract |
神経芽細胞腫,その他の細胞株,摘出腫瘍のDNAについて、N-myc,pG21,clone#8等をプローブとしてDNA増幅とDNA組換えの解析を行った。1.(1)神経芽細胞腫ではN-mycの増幅が最も高頻度に見られ(52例中11例)、それらは病期【III】期,【IV】期に限られていた。N-myc増幅型では早期に転移が起るためと考えられた。(2)原発腫瘍,転移腫瘍についてN-myc,pG21,clone#8の増幅度を比較すると、同一患者についてほゞ差がなく転移以前に増幅が起ったと考えられた。(3)ヌードマウス移植系1例ではclone#8内でDNA組換えが起っており、それはA-Tが14ケ連続している部位であった。(4)肺小細胞癌4例中3例にN-mycの2〜16倍の増幅を認めたがpG21,clone#8の増幅は認めなかった。2.(1)メソトレキセート耐性チャイニーズハムスタ培養細胞の1系ではdhfr遺伝子の約40倍の増幅が認められた。この増幅遺伝子は約160bpからなるヌクレオソーム構造を持ち、ヌクレアーゼ感受性,DNAseI過敏部位の形成等の各面から見て活性クロマチン構造を形成していることが認められた。この細胞では分裂中期像に多数の二重微小染色体を認めた。(2)雌鶏胚の胚体外域の細胞の細胞質にW染色体特異的な塩基配列を有するDNA片がin situハイブリド形成により認められた。これは反復配列から形成され細胞質に移行したDNAで、増幅の一種と考えられる。3.カドミウム耐性チャイニーズハムスタ細胞にはメタロチオネイン遺伝子の、約5〜10倍の増幅を認めたが、ヒト肝癌由来,腎癌由来上皮性細胞株をカドミウム耐性にした細胞株にはメタロチオネイン遺伝子の増幅を見出すことは出来なかった。この蛋白は脊椎動物界を通じて、構造上極めて保守的であることが知られているが、その遺伝子発現の制御に関しては、哺乳類の間でも必ずしも共通ではないことを示すものと考えられた。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] Y.Shiloh;B.Korf;N.E.Kohl;K.Sakai;G.M.Brodeur;P.Harris;N.Kanda;R.C.Seeger;F.Alt;S.A.hatt.: Cancer Research. 46. 5297-5301 (1986)
-
[Publications] Y.Kaneko;N.Kanda;N.Maseki;M.Sakurai;Y.Tsuchida;T.Takeda;I.Okabe;M.Sakurai: Cancer Research. 47. 311-318 (1987)
-
[Publications] S.A.hatt;M.Lalande;T.Donlon;A.Wyman;E.Rose;Y.Shiloh;B.Korf;K.Sakai;N.Kanda;J.Kang;H.Stroh;P.Harris;G.Bruns;R.Wharton;W.Kaplan.: Cold Springs Harbor Symposium.
-
[Publications] N.Kanda;Y.Tsuchida;J.Hata;N.E.Kohl;F.W.Alt;S.A.hatt;T.Ukakoji: Cancer Research.
-
[Publications] 神田尚俊,金子安比古,林泰秀,宇多小路正: 蛋白質核酸酵素. 31. 1277-1285 (1986)