1986 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト遺伝性fragile siteと腫瘍染色体再配列に関する研究
Project/Area Number |
61010087
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
堀 雅明 放射線医総研, その他, 研究員 (50159133)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 紀 千葉県がんセンター, 疫学部, 部長
梶井 正 山口大学, 医学部, 教授 (40116710)
佐々木 正夫 京都大学, 放生研, 教授 (20013857)
池内 達郎 東京医科歯科大, 難研・細胞遺伝, 助教授 (90041839)
瀬野 悍二 埼玉県がんセンター研, 血清ウイルス部, 部長 (30076989)
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Keywords | ヒト染色体 / 遺伝性fragile site(脆弱部位,FS) / 造腫瘍性染色体変異 / 一般健常人集団 / 癌患者集団 / 急性非リンパ性白血病 / fra(X)(q27) |
Research Abstract |
研究目的:本研究はヒト染色体上の遺伝性fragile site(脆弱部位,FSと略す)と染色体再配列が関与する発癌機構との関連性を明らかにするとともに、FSの発現機構とDNA構造変異を解析して発癌の分子機構の解明と発癌の予防に関する基礎的知見を得ることを目的とする。 研究成果:(1)一般集団におけるFSの検査ー一般健常人集団(906人)を対象にFS検索を行い、44人(44/906,4.86%)の遺伝性FS保因者を検出した。本調査により既知の3群18種類のFSのうち3群5種類のFSと新しい乙種類のFSが検出された。(2)FSと造腫瘍性染色体変異との関連性ー癌患者集団を対象にFS検索を実施し、これまでに126例中4例(4/126,3.17%)に2種類のFS保因者を検出した。そのうち急性非リンパ性白血病患者の1例はその腫瘍細胞にみられる逆位染色体異常の切断点に一致したFSの保因者であった。他の3例はいずれも前白血病症例で、そのうち1例は癌多発家系であった。今後は一般癌患者群、特異的染色体異常を示す癌患者群および癌多発家系について広範なFS調査を行いFSがどの程度発がん感受性に寄与しているかを明らかにする必要がある。(3)FSの発現機構一葉酸(チミン飢餓)感受性FSのfra(X)(q27)の発現にはFS部位のDNA構造変異そのものが直接的に関与しておりその構造変異は低dTTPあるいは低dCTP条件下でのDNA複製に高感受性であることが明らかにされた。今後はFSのDNA構造の解析が重要な課題となる。本研究で得られたFSへの選択的マーカー遺伝子の導入の成果、チミン飢餓条件下でのDNA切断とそれに関与するヌクレアーゼ活性の検出系の確立、相同的遺伝子組換えのin vitro検出系の確立、およびFS保因者由来の培養細胞化の成功などはFS領域のDNA構造の遺伝的変異とFS発現を誘導する生理的条件との関連に関する今後の解析的研究に展望を与える重要な成果である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Murata,M.;Takahashi,E.;Ishihara,T.;Minamihisamatsu,M.;Takagi,T.;Kaneko,Y.;Hori,T.: Cancer Genetics and Cytogenetics. 25. 81-86 (1987)
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[Publications] Kuwano,A.;Kajii,T.: Human Genetics. 75. 75-78 (1987)
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[Publications] 堀雅明,高橋永一,村田紀: 蛋白質・核酸・酵素. 31. 90-104 (1986)
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[Publications] 高橋永一,堀雅明,村田紀: 細胞. 18. 467-471 (1986)
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[Publications] 村田紀: 癌の臨床. (1987)
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[Publications] 佐々木正夫: 蛋白質・核酸・酵素. 31. 57-67 (1986)
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[Publications] 瀬野悍二,堀雅明 編集: "蛋白質・核酸・酵素 臨時増刊 染色体研究の新たな展開" 共立出版, 304 (1986)