1986 Fiscal Year Annual Research Report
細胞工学方法によるテラトカルシノーマの分化誘導と腫瘍遺伝子発現の制御
Project/Area Number |
61010097
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
関口 豊三 国立がんセ, その他, その他 (70076975)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 純一 埼玉がんセンター研究所, 生化学部, 研究員 (60142113)
網代 広三 愛知がんセンター研究所, 生物部, 主任研究員 (80124527)
西宗 義武 大阪大学, 微生物研究所, 助教授 (80029793)
岩倉 洋一郎 東京大学, 医学部研究所・ウィルス感染部, 助教授 (10089120)
吉田 迪弘 北海道大学, 理学部動物染色体研究施設, 助教授 (60001765)
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Keywords | テラトカルシノーマ / 核移植細胞 / 細胞工学方法 / 腫瘍遺伝子 |
Research Abstract |
(1)テラトカルシノーマ核移植細胞を用いた細胞分化系譜の決定機序の解明;未分化幹細胞であるテラトカルシノーマ(胚性奇型腫)の分離核を、分化したラット筋芽細胞の脱核細胞質に核移植を行った細胞をクローン分離した。この核移植細胞は全て筋芽細胞様形態及び蛋白合成パターンを示し、分化誘導によって多核形成を示し、分岐した筋管様構造を示し筋特異的蛋白であるα-トロポミオシン等を合成した。即ち分化した筋芽細胞の細胞質に未分化幹細胞の核遺伝子に作用して筋芽細胞へ決定する因子の存在することが初めて見出された。(2)発癌遺伝子産物による細胞系譜の決定因子の阻害;成人性白血病(ATL)の原因ウィルスとしてHTLVが知られ、癌化に関与する遺伝子として特異的遺伝子pxが存在するが、その作用は殆んど不明である。前記の筋芽細胞に決定されたテラトカルシノーマ核移植細胞にHTLV-【II】px遺伝子の移入を行うと、px遺伝子が発現した細胞は全て形態的に元の未分化テラトカルシノーマにもどり未分化細胞の形質発現を示した。この結果はpx遺伝子産物P【38^x】蛋白の直接的作用は筋芽系への決定因子の阻害であり、これによって筋芽様核移植細胞が元の未分化細胞にもどったものとも考えられる。即ちある発癌遺伝子は分化の決定を阻害することによって分化の異常を引きおこす可能性が見出された。(3)発癌遺伝子のヒト染色体上のマッピング;発癌遺伝子c-erbB-2がヒト染色体No.17に座位していること、また胃癌細胞でこの発癌遺伝子の増巾していることが見出された。(4)細胞質小環状DNAのヒト染色体への組込み;細胞質には染色体外DNAとして小環状DNAが存在する。ヒト癌細胞(HeLa)より分離した小環状DNAのクローン(Hspc)を用いてヒト染色体にも存在するか否かを調べた所、染色体切断等の起り易い部位に一致してHspcが組み込まれていることが見出された。即ちHspcはトランスポソン様に組み込まれ、その部位を切断され易くしていた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Iwakura Yoichiro: Cell. 42. 777-791 (1985)
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[Publications] Miwa Masanao: AIDS RES.2. 561-570 (1986)
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[Publications] Fukushige Shin-ichi: Molecular and Cellular Biology. 6. 955-958 (1986)
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[Publications] Nozaki Masami: Developmental Biology. 113. 17-28 (1986)
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[Publications] Hayashi Jun-ichi: Cancer Res.46. 4001-4006 (1986)
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[Publications] Yamagishi Hideo: BioEssays. 4. 218-221 (1986)
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[Publications] 日本生化学会 編・関口豊三 共著: "遺伝子研究会【III】(細胞工学的技術)" 東京化学同人, 404 (1986)