1986 Fiscal Year Annual Research Report
アデノウイルス群の発がん遺伝子の多様性と他の遺伝子との協調性
Project/Area Number |
61010099
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
石橋 正英 愛知がんセ, その他, その他 (70029776)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
品川 森一 帯広畜産大, 助教授 (00001537)
今本 文男 理化学研, 主任研究員 (00029761)
小田 鈎一郎 東京理科大, 教授 (40012736)
澤田 幸治 札幌医大, がん研, 講師 (80111128)
白木 和子 東大医科研, 助手 (40012744)
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Keywords | アデノウイルス / E1A遺伝子 / 発がん遺伝子 / トランスフォーメーション / トランスフェクション / 転写抑制 / インターフェロン誘導 / 転写終結 |
Research Abstract |
ヒトアデノウイルス12型E1A遺伝子によって転写が抑制されるラット細胞mRNAに対応するcDNAクローン1株を分離したが、これはこのウイルスによるトランスフォーメーションの初期過程を解析する上で画期的な一歩である。同12型E1A遺伝子上に種々の変異をもつDNA断片をラット3Y1細胞に導入して、E1Aとトランスフォーム能の詳細な検討をした。そして、アデノウイルス型間での類似性が低く、トランスフォーム能に直接関与しないとされていたN末端近辺領域も、実は、関与することを明らかとした。同12型のE1A遺伝子の導入をうけた3Y1細胞の軟寒天内コロニー形成効率がV-ab1遺伝子の共導入によって上昇することを見つけた。同12型E1A遺伝子はニワトリ細胞内でインターフェロンを誘導するが、5型E1A遺伝子にはその能力がない事を明らかにした。同12型E1B遺伝子の下流に転写終結の信号となる塩基配列があることを見つけた。E1A遺伝子のin vivo転写を見るとき、これまでに同定されたアデノウイルス中で強腫瘍原性を示す12型だけが2つの部位から転写を開始することに注目し、in vitro系での再現を試み成功した。 トリアデノウイルス1型DNAのトランスフォーム能を調べ、ウイルスDNAの地図単位(m.u.)を用いて表すと0-7.7m.u.〔3.2Kb(キロ塩基)〕と22-31.5m.u.(4.3Kb)がフォーカス形成能とコロニー形成能を兼ね備えた、6塩基判別制限酵素で切り出せる、最短のウイルスDNA断片の組合せであることを明らかとした。これらのウイルスDNA領域のうち0-7.7m.u.の塩基配列を決定し、Ficketらの方法によってそのアミノ配列を推定した。イヌアデノウイルス2型DNAによってトランスフォームさせたどの3Y1細胞でも、ウイルスDNAr鎖の0-4.5m.u.領域から1KbRNAが、また、4.5-11m.u.領域からは1.1Kb,2KbのRNAが転写されていることを明らかとした。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Ishibashi,M.: J.Virol.61. 151-158 (1987)
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[Publications] Ohshima,K.: J.Virol.57. 490-496 (1986)
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[Publications] Ishino,M.: Virology. in press. (1987)
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[Publications] Oda,K.: J.Virol.58. 125-133 (1986)
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[Publications] Shinagawa,M.: Gene. in press.
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[Publications] Nakanishi,Y.: Biochem.Biophys.Res.Commun.136. 86-93 (1986)