1986 Fiscal Year Annual Research Report
癌化による肝アルドラーゼ遺伝子構造の変化と発現変換
Project/Area Number |
61015008
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
石川 喜一 山形大, 医学部, 教授 (40018312)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堤 玲子 山形大学, 医学部, 助手 (20005664)
堤 賢一 山形大学, 医学部, 助手 (40113964)
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Keywords | アルドラーゼB遺伝子 / 遺伝子構造と発現 / DNase【I】高感受性領域 / DNAメチル化 |
Research Abstract |
アルドラーゼには、A(筋型)、B(肝型)、C(脳型)の3種類のアイソザイムが存在し、明確な組織特異性を示すと共に、癌化によりその遺伝子発現が変換することが知られている。これまでわれわれは正常肝ではアルドラーゼBが発現しているが3m-DABによる化学発癌肝癌ではアルドラーゼAが発現するようになりアルドラーゼBの発現量が低下することをAおよびBcDNAを用いて明らかにしてきた。本年度はこのアルドラーゼB遺伝子発現の抑制、非抑制下における同遺伝子の高次構築(クロマチン構造)が示す特徴をDNase【I】高感受性領域の面から検討すると共に、同遺伝子DNAのメチル化の面から検討して以下のような結果を得ている。(1)高感受性領域:正常肝ではアルドラーゼB遺伝子が活発に発現している。このクロマチンでは同遺伝子のそれぞれ2.6Kb(サイト【I】)、0.3Kb(サイト【II】)上流と、ポリA添加部位上流1.6Kb(サイト【III】)および下流約2.7Kb(サイト【IV】)の計4個所にDNase【I】高感受性領域がみられた。B遺伝子の発現が完全に抑制されたAH130ヘパトーマや脳ではこれらの領域はみられないが、部分的にでもB遺伝子が発現しているモーリス肝癌D5123、3me-DAB肝癌、腎などでは共通してサイト【II】の存在することが確かめられた。このことは同遺伝子の5'近傍プロモータ部分のクロマチン構築の変化が同遺伝子発現に重要であることを意味している。(2)DNAメチル化:同遺伝子およびその近傍の15個所のHha【I】サイト、Hpa【II】サイトのメチル化と同遺伝子の発現との相関を検討して、B遺伝子の発現している組織からとられたDNAでは、同遺伝子5´上流0.13KbにあるHha【I】サイトと、イントロン1に存在するいくつかのHpa【II】サイトが低メチル化であることが共通していた。特に5´上流0.13KbのHha【I】サイトはCCAAT boxに隣接していることから、同遺伝子の転写と深く関与していることが推定された。
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[Publications] K.Tsutsumi: J.Mol.Biol.181. 153-160 (1985)
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[Publications] 石川喜一: 蛋白質 核酸 酵素. 31. 201-205 (1986)
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[Publications] M.Daimon: J.Biochem.100. 1279-1286 (1986)
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[Publications] R.Tsutsumi: Biochem.Int.13. 781-786 (1986)
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[Publications] J.Sato: Arch.Biochem.Biophys.253. (1987)
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[Publications] K.Tsutsumi: J.Biochem.
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[Publications] K.Tsutsumi: "Tissue-specific and developmentally specific controls involved in rat aldolase B gene expression in Isozymes:Current topics in biological and medical research (C.L.Markert ed.)" Alan R.Liss Inc.,New York, 18 (1987)