1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61015033
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹市 雅俊 京大, 理学部, 助教授 (00025454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安田 国雄 京都大学, 理学部, 助教授 (30025473)
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Keywords | がん転移 / 細胞接着分子 / カドヘリン / cDNA |
Research Abstract |
がん細胞の結合と脱離と移動の仕組みを解明するための基礎研究として、がん細胞の主要な結合分子である三種類のカルシウム依存接着タンパク質、E-カドヘリン、N-カドヘリン、P-カドヘリンのcDNAクローニングを行い、以下のような結果を得た。 それぞれの型のカドヘリンを発現する組識(マウスおよびニワトリ)のmRNAから、発現ベクターによるcDNAライブラリー作り、その中から、カドヘリン抗体に反応するクローンを分離し塩基配列を決めた。次ぎに、これらがカドヘリンcDNAであることの確証を得るために、各型のカドヘリンを発現している細胞と、発現していない細胞のRNAについてノザン分析を行い、その結果、得られたクローンは各型のカドヘリンを発現している細胞のRNAとのみハイブリダイズすることがわかった。また、すでに明らかにされていたカドヘリンのアミノ酸配列と一致する配列が、cDNAの中にも存在することが確かめられ、得られたcDNAクローンはカドヘリンに対応するものであることが確定した。こうして得られた三つの型のカドヘリンcDNAの塩基配列を、5'側約1600塩基対に関して比較してみると、全範囲にわたって共通の配列があることが明らかになった。以上の結果は、カドヘリンが一群の遺伝子ファミリーを形成していることを強く示唆した。 次に、mRNA全長に対応するcDNAクローンを得るため、オリゴ(dT)をプライマーとして作成したcDNAライブラリーを作成し、その中から上で得られたcDNAとハイブリダイズするクローンを選び出し制限酵素マップを作るなどの解析を行った。その結果、目的のものを得ることができた。以上の成果によって、今後、細胞接着分子の作用を遺伝子および細胞工学的方法により研究することが可能になり、がん細胞の転移の研究に新しい道が開けたといえよう。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Hatta,K.: Nature. 320. 447-449 (1986)
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[Publications] Shirayoshi,Y.: Cell Structure & Function. 11. 245-252 (1986)
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[Publications] Shirayoshi,Y.: The EMBO Journal. 5. 2485-2488 (1986)
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[Publications] Takeichi,M.: Developmental Biology,A Comprehensive Synthesis,ed.L.Browder,Plenum Publishing Corporation,NY.2. 373-388 (1986)