1986 Fiscal Year Annual Research Report
ポルフィリン誘導体の光照射による選択的制がん作用の機序
Project/Area Number |
61015040
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川西 正祐 京大, 医学部, 講師 (10025637)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
折井 豊 京都大学, 医学部, 助教授 (60028149)
佐野 晴洋 京都大学, 医学部, 教授 (60025533)
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Keywords | DNA / 活性酸素 / アンカップラー / 光励起 / リピド / ミトコンドリア |
Research Abstract |
ヘマトポルフィリンのアセチル誘導体は担がん動物やがん患者に投与されるとがん組織に蓄積し、レーザー光照射によりがん組織の著明な壊死が起こることが観察されるので、これを利用した治療法が注目されている。これまでに乳がんマウスにヘマトポルフィリンアセチル体を注射し24時間後、がん組織にポルフィリンの選択的蓄積を認めた。また、培養KB細胞に種々のポルフィリン誘導体を加えると特定のポルフィリンのみがKB細胞に取り込まれた。高速液体クロマトグラフィーで検討した結果、ある種の高分子のポルフィリンが癌組織に親和性があることが判明した。つぎに、光照射下でのポルフィリンとDNAとの反応を解析した。二重鎖のDNAは何ら変化は認められなかったが、一重鎖のDNAでは反応が認められた。Maxam-Gilbert法の併用により、グアニンが特異的に酸化されることがわかった。更に電子スピン共鳴法で、光照射でポルフィリンは一重項酸素を発生し、これにより一重鎖のDNAのグアニンと特異的な反応が起こることを明らかにした。また、ミトコンドリアにポルフィリン誘導体を加えて光照射するとアンカップラー作用が起こることが認められた。その際に光励起ポルフィリンからの一重項酸素がミトコンドリア膜の構成リピドであるアラキドン酸やリノール酸を分解することが明らかになった。また、ある種の蛋白質が特異的に分解されることがSDS-PAGE電気泳動から明らかになった。その蛋白質がATPaseであるかどうか、またリピドの酸化と蛋白質の特異的分解のいずれがアンカップラー作用の主な原因であるかを検討している。DNA障害も無視できないが、ミトコンドリアにポルフィリン誘導体が蓄積しやすいことから、アンカップラー作用が光励起ポルフィリン誘導体のがん細胞の壊死を起こす本態である可能性が考えられる。
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[Publications] S.Kawanishi;S.Inoue;S.Sano;H.Aiba: J.Biol.Chem.261. 6090-6095 (1986)
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[Publications] S.Kawanishi;S.Inoue;S.Sano: J.Biol.Chem.261. 5952-5958 (1986)
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[Publications] 川西正祐,佐野晴洋: "生化学実験講座 8巻" 東京化学同人, 24 (1987)
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[Publications] 川西正祐: "産業内科学" 医歯薬出版, 10 (1987)