1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61015067
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山本 正美 広島大, 医学部, 講師 (20136063)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中塚 博文 広島大学, 医学部附属病院, 医員
田原 栄一 広島大学, 医学部, 教授 (00033986)
田中 丈夫 広島大学, 医学部, 講師 (50127669)
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Keywords | 原爆後障害 / 大腸癌 / 免疫組織化学 / 糖蛋白 / 癌遺伝子 / Epidermal growth factor |
Research Abstract |
原爆被爆者に発生した大腸癌の生物学的特性を明らかにする目的で、被爆線量の明らかな広島の被爆者大腸癌と非被爆者大腸癌について、各種の抗体を用いて、免疫組織化学的に検討した。 1. 内分泌細胞、糖蛋白の発現について 被爆者群において、セロトニン細胞 【α_1】-antitrypsin(AAT)、リゾチームおよびsecretory component(SC)の陽性率が高く、好銀細胞の出現頻度が低い傾向が認められたが、有意の差はなかった。発生部位別の検討では、被爆者のS状結腸癌において、SCの陽性率が非被爆者群に比して、有意に高率であった。更に、50rad以上の高被爆線量のS状結腸癌では、AAT、HCGおよびSCが、非被爆者のS状結腸癌に比して有意に高頻度であった。 2.Epidermal.growth.factor(EGF)について被爆者群でEGFの発現は77%、非被爆者群が70%と差はみられなかったS状結腸癌においては、被爆者群で89%、非被爆者群で63%と、被爆者のS状結腸癌に高い頻度であったが有意差は認められなかった。 3. 癌遺伝子産物Ha-ras p21の発現について 被爆者群で73% 非被爆者群で65%にp21の発現がみられた。被爆線量との関係では、49rad以下の低被爆線量群では、非被爆者群と同程度の発現頻度であったが、50rad以上の高被爆線量群では90%以上の症例にp21の発現がみられた。部位別の検討では、S状結腸癌において、被爆者群で95%非被爆者群で57%と、被爆者群に有意に高頻度であった。 以上の結果から、被爆者S状結腸癌では、生物学的に多分化能を有する可能性が示唆された。今後、S状結腸癌の症例を中心に集収し、被爆者大腸癌の特性を更に明確にする必要がある。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 田原栄一: Jpn.J.Cancer Res.(Gann). 77. 517-522 (1986)
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[Publications] 田中丈夫: Molec.Cell.Biochem.70. 97-104 (1986)
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[Publications] 中塚博文: GANN Monograph on Cancer Research. 32. 155-165 (1986)
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[Publications] 山本正美: Jpn.J.Cancer Res.(Gann).
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[Publications] 亀田節: 第45回日本癌学会総会記事. 520 (1986)