1986 Fiscal Year Annual Research Report
癌の転移に関与する細胞骨格蛋白(アクチン)及び関連遺伝子の研究
Project/Area Number |
61015081
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
谷口 俊一郎 九大, 生体防医研, 助手 (60117166)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 恒男 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (70037323)
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Keywords | 転移 / 悪性化 / 新種アクチン / 細胞核蛋白 / fos癌遺伝子 |
Research Abstract |
マウスB16黒色腫に於いて発見された新種【A^x】アクチンの転移能との相関を更に詳しく調べる為に、極度に低又は高転移性B16黒色腫細胞株の他、中間の転移能を有する細胞株10数株について、【A^x】アクチンの発現度を比較検討した。その結果、【A^x】アクチンの発現度(【A^x】アクチン/β-+γ-アクチン)は転移能増強に伴ない減少することが分った。尚、【A^x】アクチン発現変化は無細胞系蛋白合成の実験よりmRNAレベルで生じていることが明らかになった。尚Northern blot analysis の結果、【A^x】アクチンをコードするmRNAのサイズはβ-,γ-アクチンのサイズに極めて近いことが分った。又、【A^x】アクチン発現の異なるB16-F1(低転移性)とB16-F10(高転移性)間で、ファロイジン(重合したアクチンに特異的に結合する)染色をすると、B16-F1がより強く染色され【A^x】アクチンはアクチン重合に積極的に働いていることが示唆された。【A^x】アクチン発現変化は5-アザシチジン(DNAのメチル化の程度を変える)によって生じず、メチル化以外の機構によって遺伝子発現の変化が起っていると考えられた。マウス黒色腫において【A^x】アクチンが悪性化に伴ない発現低下する事実は、マウス正常黒色細胞に【A^x】アクチンが発現することを暗示する。マウス色素細胞が現在入手不可能であるので、ヒト正常色素組織についてアクチンの発現を調べた。その結果、ヒト正常色素組織(blue nevus,nevus pigmentosis)にはβ-,γ-アクチン以外に第三のアクチン(A')(免疫染色法で同定した)が発現していた。更に、ヒト悪性黒色腫について細胞骨格蛋白を調べたところ、A'アクチンが消失していることが分った。 核蛋白をコードし、外部刺激に対し極めて早く反応を示す点に於いてアクチンと類似した挙動を示すfos遺伝子の転移への関与を調べた。ラット形質転換細胞にv-fos遺伝子(プラスミドpFBJ-2)を導入した所、同系ラットに於て肺へ転移能が増強されることが分った。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Shun'ichiro Taniguchi: Journal of Biological Chemistry. 261(13). 6100-6106 (1986)
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[Publications] Shun'ichiro Taniguchi: Japanese Journal of Cancer Research(GANN). 77(12). 1193-1199 (1986)
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[Publications] Shun'ichiro Taniguchi: Proceedings of Jpn.Soc.Invest.Dermatology. (1987)
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[Publications] 谷口俊一郎: 日本臨床. 44(2). 323-329 (1986)
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[Publications] Shun'ichiro Taniguchi: Journal of Biological Chemistry.
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[Publications] Shun'ichiro Taniguchi: Cancer Research.