1986 Fiscal Year Annual Research Report
NK細胞の特異臓器分布と腫瘍細胞との相互作用における基底膜蛋白ラミニンの役割
Project/Area Number |
61015092
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
湊 長博 自治医大, 医学部, 講師 (40137716)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 哲男 独協医科大学, 医学部, 助手
狩野 庄吾 自治医科大学, 医学部, 教授 (00049024)
森田 辰男 自治医科大学, 医学部, 助手
高木 省治郎 自治医科大学, 医学部, 助手
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Keywords | NK細胞 / 血管内皮細胞 / 基底膜蛋白 / ラミニン / 養子免疫療法 / インターフェロン |
Research Abstract |
LGL(NK)は、肝類洞や肺毛細管、腸管上皮などに、内皮細胞や上皮細胞に固着して存在し(臓器固有LGL)、これら臓器における抗腫瘍性(転移の抑止)に一定の役割を果していると考えられている。他方LGLとある種の腫瘍細胞との相互作用においても上皮性基底膜蛋白(とくにラミニン)の関与が示唆されてきている。本研究では、in vivoとin vitroの両面よりこの点に解析を加えることを目的とした。1.養子免疫療法;腎全摘を前提とした腎癌患者3例に、in vitroでIL2により活性化した自己LGLを【^(111)In】ラベル後患側腎動脈より注入し,その動態を検討した。その結果2例に、極めて選択的なリンパ球の腫瘍部位への局在集中が認められた。これら症例では腫瘍部血管が豊富であったが、残る1例では同血管分布が乏しく、リンパ球の同部集積像が殆んど認められなかった。これはリンパ球の腫瘍部集積に、同部血管分布が重要な役割を有していることを示している。2.血管内皮との相互作用:培養血管内皮細胞にリンパ球を加えても通常接着はおこらないが、内皮細胞を活性化リンパ球条件培地で前処理すると,同細胞へのリンパ球接着が著しく促進された。条件培地中の主要因子はγインターフェロンであり、これにより局所的に刺激された血管内皮が選択的にリンパ球接着能を得る可能性が示された。3.キラー活性とラミニン:ある腫瘍細胞は明らかにラミニン結合能を有しており、それに対するLGLのキラー活性は、精製ラミニンの存在によって抑制された。この機構解析のため、すでに複数の抗ラミニンモノクローナル抗体を作製した。今後はこれらの実験系を総合し、腫瘍部位における血管内皮の基底膜蛋白の変化と、LGLとの相互作用、及び同部位でのLGLと腫瘍細胞との相互作用を、さらに、精製基底膜蛋白及び同モノクローナル抗体などを用いて解析していく予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Ikuta,K.;Hattori,M.;Wake,K.;Kano,S.;Honjo,T.;Yodoi,J.;Minato,N.: The Journal of Experimental Medicine. 164. 428-442 (1986)
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[Publications] Masuyama,J.;Minato,N.;and Kano,S.: Journal of Clinical Investigation. 77. 1956-1965 (1986)
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[Publications] Kajigaya,S.;Suda,T.;Suda,J.;Saito,M.;Miura,Y.;Iizuka,M.;Kobayashi,S.;Minato,N.;Sudo,T.: The Journal of Experimental Medicine. 164. 1102-1113 (1986)
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[Publications] Morita,T.;Yonese,Y.;Minato,N.: The Journal of National Cancer Institute. (1987)