1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61015099
|
Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
小河原 宏 明薬大, 薬学部, 教授 (00097198)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋山 徹 明治薬大, 薬学部, 助手 (70150745)
|
Keywords | 癌遺伝子 / チロシンキナーゼ / 酵素阻害剤 |
Research Abstract |
我々は、癌遺伝子産物および増殖因子受容体のチロシキンキナーゼ活性阻害剤を探索し、イソフラボンの一種ゲニステインがEGF受容体や【pp60^(src)】のチロシンキナーゼ活性を特異的に阻害することを明らかにしてきた。今年度は、ひき続きチロシンキナーゼ阻害剤の探索を継続すると同時に、ゲニステインの培養細胞への作用の解析および誘導体の合成とその作用の解折をおこなった。(1)増殖因子によりひきおこされる細胞膜脂質代謝回転の亢進は細胞増殖のシグナル伝達機構に重要な役割を果たしていると考えられているが、ゲニステインはEGFによるヒト・カルシノーマA431細胞のリン脂質代謝回転の亢進および、PDGF,バゾプレッシン,ボンベシンによるSwiss3T3細胞のリン脂質代謝回転の亢進を顕著に阻害した。ゲニステインの誘導体を種々合成し、チロシンキナーゼ阻害活性とリン脂質代謝亢進阻害活性とを検討したところ、両者の間に相関がみられた。(2)ゲニステインはRous sarcomaウイルスでトランスフォームしたラット3Y1細胞,A431細胞,マウス・サイモーマEL4細胞,マウス・マストサイモーマP815細胞の増殖を顕著に阻害した。また、リンパ球のConA,PWA,LPSによるblast化も強く阻害した。誘導体について同様の実験をおこなうと、in vitroおよびin vivoでゲニステインと同様にチロシンキナーゼ活性を阻害するが細胞毒性を示さないものが数種見出された。特に2位に-COOH,-COO【C_2】【H_5】,-【CH_2】S【CH_2】CH(OH)【CH_2】OHをもつ誘導体はほとんど細胞毒性を示さないにもかかわらず、マウスに投与すると抗体産生を顕著に抑制し、免疫抑制剤としての観点から検討に価すると考えられた。(3)数種の微生物がチロシンキナーゼ阻害物質を生産していることを見出し、そのうちの一種を精製・構造決定したところ、やはりイソフラボンの一種であることが明らかとなった。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] H.Ogawara;T.Akiyama;J.Ishida;S.Watanabe;K.Suzuki: J.Antibiotics. 39. 606-608 (1986)
-
[Publications] T.Akiyama;C.Sudo;H.Ogawara;K.Toyoshima;T.Yamamoto: Science. 232. 1644-1646 (1986)
-
[Publications] T.Akiyama;T.Kadowaki;E.Nishida;T.Kadooka;H.Ogawara;Y.Fukami;H.Sakai;F.Takaku;M.Kasuya: J.Boil.Chem.261. 14797-14803 (1986)
-
[Publications] T.Akiyama;E.Nishida;J.Ishida;N.Saji;M.Hoshi;Y.Miyata;H.Ogawara;H.Sakai: J.Boil.Chem.261. 15648-15651 (1986)
-
[Publications] T.Akiyama;J.Ishida;S.Nakagawa;H.Ogawara;S.Watanabe;N.Itoh;M.Shibuya;Y.Fukami: J.Boil.Chem.(1987)