1986 Fiscal Year Annual Research Report
癌および胎児組織にみられる細胞接着分子フィブロネクチンの異常とその生理的意義
Project/Area Number |
61015100
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
千谷 晃一 藤田学園保衛大, 医学部, 教授 (60179942)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関口 清俊 藤田学園保健衛生大学, 医学部, 講師 (50187845)
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Keywords | フィブロネクチン / 細胞接着 / 癌胎児性構造変化 / 癌抗原 / ペプチド抗原 |
Research Abstract |
本研究の目的は、細胞接着分子フィブロネクチン(FN)の癌胎児性構造変化の実体を明らかにし、その生理的意義を癌転移との関連において明らかにすることにある。この目的に沿って本年度は、(1)成人および胎児肺組織に含まれるFNの構造を解析し、個体発生に伴うFNの構造変化の実体を明らかにする、(2)細胞型FNに特異的な抗体を作製する、の2点に重点を置いて研究を行った。 1.成人および胎児組織に含まれるFNの構造解析.成人および胎児肺組織に含まれるFNの構造を、プロテアーゼによる限定分解とイムノブロット法を組みあわせ、タンパクを可溶化することなく解析した。その結果、成人肺組織のFNは、これまで考えられていたような"細胞型"ではなく、基本的には"血漿型"であった。一方、胎児肺組織のFNは、基本的に"細胞型"であった。実際、胎盤から精製したFNは"細胞型"とほぼ同一であった。これらの結果から、FNの構造が個体発生の過程で、"細胞型(胎児型)"から"血漿型(成人型)"に変化することが推定された。 2.細胞型FNを特異的に認識する抗体の作製.FN遺伝子のゲノムDNAおよびcDNAの塩基配列の解析から、細胞型FNには、血漿型FNには存在しないペプチドが少なくとも3箇所存在することが推定されている。このペプチド部分を化学合成し、それに対する抗体を作製した。その結果、△2ペプチドに対する抗体は、細胞型FNと強く反応する他、血漿型FNに少量混在する一部のサブユニット鎖とも反応した。一方、EDペプチドに対する抗体は、細胞型FNとのみ特異的に反応した。また、細胞型FNには、分子量の少しずつ異なる少なくとも4種のサブユニット鎖が存在し、それらの違いは、EDおよび△2ペプチドの有無の組み合わせによって生じることが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)