1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61025012
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
纐纈 一起 東大, 地震研究所, 助手 (90134634)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳沢 馬住 東京大学, 地震研究所, 助手 (00012930)
嶋 悦三 東京大学, 地震研究所, 教授 (20012891)
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Keywords | 首都圏 / 人工地震 / 基盤 / 水平変化 |
Research Abstract |
首都圏下における基盤(地殻最上部,Vp〜6Km/s,Vs-3km/s)は、厚い堆積層の下に複雑な形状をもって分布している。この基盤の3次元的形状を明らかにする目的で、従来首都圏で行われてきた人工地震実験の走時データを可能な限り収集した。また本年度10月に夢の島で行われた人工地震実験に参加し、収集したデータを補強した。 一方、首都圏の基盤速度には地域性があること、人工地震爆破点の分布に片寄りがあることなどの解析上の問題点を克服するため、走時解析におけるタイムターム法の改良を行なった。基盤面深さを表わすタイムタームを平面座標x,yの多項式で表現し、基盤速度も部分領域ごとに与える。これら多項式の係数や部分領域の速度を最小二乗法を用いて求めたところ、基盤面は東京都区部から神奈川・千葉両県の東京湾岸にかけて深くなっており、そこからはずれるに従って浅くなるという結果を得た。この結果は、従来重力や深層ボーリングのデータから間接的に予想されていた基盤面形状と大局的には一致しており、これらの予想の妥当性を初めて直接的に裏付けた。また基盤のP波速度は、夢の島から西北西方向と東方向に延びる2直線を境にして北部では5.6km/s,南部では5.4km/sと有意に異なることがわかった。 さらに水平方向に境界面の形状が変化する成層構造に対して、理論地震波形を計算する手法を開発した。得られた基盤構造にこれを適用し、西埼玉地震(1931)による東京の強震動を計算して、従来、水平基盤面を仮定して得られていた強震動と比較した。基盤面の水平変化の影響は波形に強く現われ特に東京都区部で基盤が深く、堆積層が厚くなったことにより、強震動が大きく変形・増幅されることが確められた。
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Research Products
(2 results)