1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61025032
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高橋 保 京大, 防災研究所, 教授 (40027230)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 一 京都大学, 防災研究所, 助手 (80144393)
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Keywords | 破堤氾濫 / 数値シミュレーション / 家屋破壊率 / 危険区域 / ダメッジポテンシャル |
Research Abstract |
市街地における破堤氾濫の数値シミュレーション法に関する研究;従来洪水氾濫水の挙動に関する二次元浅水流理論による数値シミュレーション法が提案されているが、計算の安定性を得るために一部の項が無視されていた。ここでは差分の取り方に工夫を加えることにより、より厳密な数値計算法を示した。本手法の精度の高いことは実験によって確認された。また、従来、市街地における氾濫水を取り扱う場合でも、障害物が何もない場と同様に考え、ただ粗度係数を大きくとる方法が用いられて来た。これでは家屋密度等による粗度係数の差が不明であり、実用上問題を生ずることから、本研究では、新たに1メッシュ内の家屋の占有面積率による洪水通過率を定義し、これによって流量と水深の修正して実験結果をよく説明する計算手法を示した。危険度別危険区域の設定法に関する研究:巨椋流域を対象に、過去に破堤経験のある4ケ所の破堤地点を設定し、それぞれに対して、同一ハイドログラフ、同一破堤規模による氾濫解析を上記の方法によって行った。すでに提示した家屋流失限界条件、ガラス窓の破壊条件と建設省による勾配と浸水深に応じた家屋破壊率の基準を勘案して、水深と流連による家屋破壊率基準を新たに作成し、各ケース毎の家屋破壊率分布を求めた。家屋密度の高いメッシュは当然大きい家屋壊率を持つ候補地であるが、破堤地点によって、家屋破壊率の分布が変化し、本手法の有効性が立証された。さらに、地区全体の破壊率の合計の破堤地点による差、現在と20年前との同一外力に対する損害価値の差が検討され、ダメッジポテンシャルの急激な増大の事実や、河川沿いの堤防の重要度の評価の可能性が示された。その他、破堤後の時間経過による損失の増大曲線が示され、水防活動による堤防締切りの価値の評価ができること等、本手法の優位性が確認された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 高橋保,中川一,西崎丈能: 京都大学防災研究所年報. 29号B2. 431-450 (1986)
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[Publications] Takahashi Tamotsu;Nakagawa Hajime: Bulletin of the Disaster Prevention Reseaarch Iushifute,kyoto University. (1987)