1986 Fiscal Year Annual Research Report
高分子錯体を用いた吸着・吸収法によるNOxおよびSOxの同時除去
Project/Area Number |
61035016
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平井 英史 東大, 工学部, 教授 (90010751)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸嶋 直樹 東京大学, 工学部, 助教授 (50011010)
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Keywords | 一酸化窒素 / 二酸化イオウ / 同時除去 / 高分子錯体 / キレート樹脂 / 固定化 / 鉄(【II】)錯体 / 吸着 |
Research Abstract |
イミノニ酢酸残基を有するキレート樹脂と硫酸鉄(【II】)の水容液を窒素下で撹拌混合して得られる、樹脂固定化鉄(【II】)錯体の分散液が、希薄な一酸化窒素(NO)および二酸化イオウ(【SO_2】)の同時除去能力を有するという本研究者らによる従来の成果をもとに、本年度は以下のような成果をあげた。1.NO,【SO_2】の同時除去能力の最適条件を探索し、たとえば樹脂固定化鉄(【II】)錯体の上澄み液を除去した後、水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを4に調整すると、NOおよび【SO_2】の除去率が向上することを明らかにした。2.従来NOの吸収剤として使用されている鉄(【II】)-キレート錯体水溶液では、鉄(【II】)イオンが酸素により容易に酸化され吸収能力を失う。そこで本高分子錯体分散液と、対応する均一系モノマー錯体水容液(イミノ二酢酸-鉄(【II】))の酸素耐性を比較したところ、高分子系の方が高い酸素耐性を有しており、取り扱いも容易で実用化に適していることが明らかとなった。3.大量の酸素との接触により劣化した吸着剤の分散液から、固定化樹脂錯体部のみを、ろ過分離で回収後、塩酸および水酸化ナトリウムで処理して、出発物質のキレート樹脂を全量回収することができた。これに硫酸鉄(【II】)水溶液を加えて再び樹脂固定化鉄(【II】)錯体分散液を調製したところ、初期の活性を取戻した。上記の操作を5回繰り返しても活性の低下は全くなく、初期の括性を維持し、回収再利用可能なことが明らかとなった。4.キレート樹脂以外の陽イオン交換樹脂に鉄(【II】)イオンを固定化し、そのNO吸着能力の有無を検討したところ、強酸性のポリスルホン酸樹脂は、十分な吸着能力はないが、弱酸性のポリアクリル酸樹脂はキレート樹脂系と同等のNO吸着能力を有していることが明らかとなった。この系は、比較的高温でのNO除去が可能であるという特長を有しており、今後、検討に値する系と考えられる。
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Research Products
(1 results)