1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61035022
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
前田 昌調 東大, 海洋研究所, 助手 (40107454)
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Keywords | 原生動物 / 繊毛虫 / 鞭毛虫 / 付着 / 海水 |
Research Abstract |
海洋には、構造物や懸濁物など種々の付着基盤があり、多彩な生物生息空間を構成し、生物生育の重要な場となっている。基盤上には、繊毛虫,鞭毛虫を中心とした摂食性原生動物が出現し、その摂食活動をとおして、基盤上の生物遷移を促進し、また、栄養塩の回転を早めていると考えられているが、これら原生動物の分類,摂餌生態等の知見は非常に少ない。本研究では、北方寒冷域および温暖域沿岸の付着性原生動物を観察するとともに、海水中に沈漬した付着基盤上の細菌,微細藻類,原生動物の出現分布状態を観察し、さらに原生動物の遷移の様相についてしらべた。 (研究方法)テフロンとガラスの人工付着基盤を、沿岸水域の水深0.5m層に浸漬し、基盤上の細菌はDAPIで染色した後、蛍光顕微鏡を用いて計数した。原生動物の観察は、基盤を海水のはいったシャーレ中に移し、微分干渉顕微鏡を用いて行なった。なお、原生動物の分類は、原著論文を収集した後に行った。(結果)両基盤上には、浸漬後6日目で、細菌,微細藻類,無色鞭毛虫,繊毛虫がそれぞれ約【10^8】,【10^7】,【10^5】,【10^5】cells/【cm^2】出現した。繊毛虫は、テフロン板上に23,ガラス板上には17種観察されたが、細菌食の種は3日目まで優先し、その後4日目より、植食性種,肉食性種が出現して、この3者はほぼ同じ割合で併存した。また、その種多様度は、浸漬後4日目に急激に増大した。なお、二,三の水域より採集した原生動物を用いて、小型動物プランクトンを飼育したところ、原生動物が餌料として有効であると判明した。原生動物の分類については、原著論文をもとにして、繊毛虫Holosticha,および無色鞭毛虫の、いわゆるBodoとMonasの分類再検討を進めている。
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