1986 Fiscal Year Annual Research Report
乾式低温同時脱硫・脱硝用高機能複合金属酸化物の開発に関する基礎研究
Project/Area Number |
61035044
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
笠岡 成光 岡山大, 工学部, 教授 (10032921)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹岡 英司 岡山大学, 工学部, 助手 (50033246)
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Keywords | 硫黄酸化物 / 窒素酸化物 / 酸性雨 / 乾式同時脱硫・脱硝 / アンモニウム塩化脱硫 / 酸化バナジウム系触媒 / 酸化クロム系触媒 |
Research Abstract |
高効率の【SO_x】・【NO_x】乾式低温同時除去プロセスの確立を目指し、130℃付近で【SO_2】の酸化脱硫型脱硝触媒により【SO_2】を【SO_3】に酸化し、この【SO_3】を【NH_3】と水蒸気によりアンモニウム塩化固定脱硫すると同時に【NO_x】を【NH_3】により【N_2】に触媒還元脱硝するための繰り返し再生使用の可能な高機能触媒の開発を進めてきた。その結果、既往の検討で見いだした【V_2】【O_x】系担持触の至適担体の開発で検討した【Cr_2】【O_3】-Ti【O_2】担体がそれ自体,高い活性を示すことを見いだした。そこで【Cr_2】【O_3】-Ti【O_2】の再生法として,熱分解・酸素処理法を開発した。さらに,【V_2】【O_x】/Ti【O_2】と【Cr_2】【O_3】-Ti【O_2】について詳細に検討し、至適操作温度は130℃付近にあること、【NH_3】を【SO_x】・【NO_x】(各250ppm)の合計モル数の1.5倍供給し、空間速度2500【h^(-1)】,反応温度130℃とすると、両触媒により長時,100%近い高脱硫率・高脱硝率が保持できるという高機能性が確認された。なお、両触媒の特性を比較検討し、(1)両触媒における生成アンモニウム塩はともに【NH_4】H【SO_4】と【(NH_4)_2】【SO_4】の混合物であり、【NO_x】は【N_2】に還元されること、(2)空間速度が大きな場合,【Cr_2】【O_3】-Ti【O_2】の反応初期の経時変化は【V_2】【O_x】/Ti【O_2】に比較して大きいこと、(3)入口【NH_3】濃度を【SO_x】・【NO_x】合計モル数と等量に供給した場合,【V_2】【O_x】/Ti【O_2】では【NO_2】の副生が認められないのに対し,【Cr_2】【O_3】-Ti【O_2】では,【NO_2】の副生が認められること等を明らかにした。さらに,これらの現象を解明し、より高機能な触媒の開発の資とするために表面酸素の反応への寄与について基礎的検討を行い、【V_2】【O_x】/Ti【O_2】では反応は主に気相酸素の取り込みによって進行するのに対し,【Cr_2】【O_3】-Ti【O_2】には【V_2】【O_x】/Ti【O_2】に比較して多量の表面酸素が存在し脱硫・脱硝に寄与するのみならずNOの【NO_2】への酸化も寄与すること,気相酸素の取り込みには【SO_2】の共存が不可欠であること等を明らかにし、高機能化の指針を得るとともに,上記(2),(3)の原因が反応経路の差異によるものであることなどを明らかにした。
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