1986 Fiscal Year Annual Research Report
大気汚染による肺障害機序の解明と培養肺胞上皮細胞透過性による検査法の開発
Project/Area Number |
61035056
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
須加原 一博 熊本大, 医学部, 講師 (20171126)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 知子 熊本大学, 医学部, 助手 (60181038)
牛島 一男 熊本大学, 医学部, 助手 (60136752)
津野 恭司 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (40163860)
|
Keywords | 大気汚染 / 肺障害 / 肺胞上皮細胞 / 上皮細胞透過性 / 肺表面活性物質 / スーパーオキサイド |
Research Abstract |
1.肺胞【II】型上皮細胞の分離培養とその機能:1匹のラット肺より20×【10^6】の細胞が得られ、タンニン酸固定によるpurityは85〜90%であった。電顕,蛍光抗体法によっても細胞小器官やcytoskeleton構造もよく保持されていた。フィルター上に培養した肺胞上皮細胞をUssing chamberにセットし、電気生理学的パラメータを調べると電位差(PD)-1.0mV,抵抗(R)200Ω・【cm^2】,SCC1.8μA.【cm^(-2)】位で形態学的、薬理学的にもin vivoの肺胞上皮細胞に類似していた。2.炎症細胞の肺胞上皮細胞透過性への影響;大気汚染物質により炎症細胞が刺激されsuperoxideやproteaseが放出され肺障害が起こると考えられている。肺胞マクロファージや好中球をUssing chamberの粘膜側に入れopsonizedzymosan やTPAで刺激すると60〜90分後にmonolayerのR,PDが50%以下に低下し透過性が亢進した。終了後フィルターを固定し形態学的に調べると、炎症細胞が凝集しmonolayerに付着していた。3.antioxidantの予防効果;前記2に対して、antioxidant(SOD,catalase,α1-antitrypsin)を前投与すると、透過性亢進が抑制された。このことから肺胞上皮細胞透過性亢進には、一部superoxide産生,protease遊離が関与していると考えられる。4.気道粘膜上皮細胞への影響;気道はイオン輸送などにより気道粘膜液層の恒常性を維持して粘液線毛輸送などの防御機構を調節している。上記装置で粘膜上皮がPD-30mV,R200Ω・【cm^2】,SCC50μA・【cm^(-2)】の電気生理学的特性を有し、これらがNaイオンやβ-receptorに依存したイオン輸送機構であることを明らかにできた。現在、大気汚染物質自体の影響を検討するため、上記装置のフード内および炭酸ガス培養器用chamberを作製中である。今後は、微量長期曝露した動物の肺胞上皮細胞の変化、肺表面活性物質の分泌およびアポ蛋白遺伝子への影響などの研究を進める予定である。
|
Research Products
(2 results)