1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61055012
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堂山 昌男 東大, 工学部, 教授 (40010748)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 泰之 東京大学, 工学部, 助手 (80150283)
山本 良一 東京大学, 工学部, 助教授 (10107550)
|
Keywords | セラミックスの照射損傷 / マグネシア / 陽イオン空孔 / 陽電子消滅 / V型中心 |
Research Abstract |
核融合炉第一壁は、DT融合反応により発生する14MeVの高エネルギ中性子の照射、さらに種々のイオン,中性原子,光子,電子の高照射をあび、苛酷な熱サイクルを受ける。従って、セラミックスを核融合炉第一壁のコーティング材料や超伝導マグネットなどの絶縁材料等に使用する場合、このような厳しい環境に耐え得るか否かは、今後の核融合炉開発にとって極めて重要な問題になる。しかし現在までのところ、セラミックスの照射損傷過程や、どのような形の格子欠陥が形成されるか、どのように回復するかなどに関した研究は極めて少ない。 本研究ではセラミックス単結晶マグネシアに2MeVの電子線照射を行い、その損傷状態、回復状態を研究した。マグネシアの陰イオン空孔に起因するF型中心については、工学的に活性なものが多く飽和濃度も高いことから光吸収の実験を中心に精力的に研究されて来た。しかし陽イオン空孔に基づくV型中心については、飽和濃度の低さ、及び不純物との強い相関のために未解決の事柄も多い。2MeV,2×【10^(18)】dose/【cm^2】の電子線照射をしたMgO試料に対する光吸収測定では、電子線によりF型中心及び鉄の3価のイオンが生成していることが、明らかになった。しかしV型中心の存在は確認できなかった。 陽電子消滅法により、電子線照射で陽イオン空孔が生成されていること、及び陽電子が、その陽イオン空孔に補獲されている事を確認した。また、この補獲中心での陽電子寿命は、バルクでの寿命に非常に近く、両者の電子密度に大きな差異のないことがわかった。更に陽電子消滅γ線エネルギ測定において、Shapeパラメータが、未照射試料と照射試料とで、ほぼおなじ値になり、同様にバルクの捕獲中心での電子状態の類似性を捉える事ができた。
|