1988 Fiscal Year Annual Research Report
分子標識・重原子標識を用いたクライオ電子顕微鏡法による筋収縮機構の研究
Project/Area Number |
61065001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
若林 健之 東京大学, 理学部, 教授 (90011717)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須藤 和夫 東京大学, 理学部, 助手 (20111453)
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Keywords | 筋肉収縮 / クライオ電子顕微鏡法 / 分子標識法 / 重原子標識法 / 三次元像再構成法 / 急速凍結 / 収縮の分子的メカニズム / ケイジド化合物 |
Research Abstract |
クライオ電子顕微鏡法が軌道にのり、アクチン・トロポミオシン・S1複合体のクライオ電顕像を得ることができるようになった。この際アクチンのシステイン374に金原子クラスターを導入した所、三次元フーリエマップに鋭いピークが生じ、これを暫定的にシステインの位置を示すものと同定した。それはアクチンのラセン軸から半径4nmの所にあり、アクチンとミオシンの境界にかなり近い所にある。 この結果は、初めて電子顕微鏡的にアミノ酸残基三次元的位置を決定できることを示したことになる。この方法を他のアミノ酸残基の位置決定に用いることを準備している。 既に分子標識法により、ミオシン分子上のATPの結合部位を三次元的に決定したが、その分子標識の一次構造上での位置がトリプトファン130の近傍にある疎水的セグメント上にあることを決定した。これはミオシン分子の機能部位のうちで、三次元的位置とアミノ酸配列上での位置を対応ずけられる初めての例となった。 細いフィラメントのCaイオンによる構造変化に関しては高Ca濃度および低Ca濃度での電子顕微鏡像と、それからの三次元像再構成を行った。フーリエ変換の位相角の標準偏差を求め、二つの構造の差をも検定するプログラムが出来つつある。 光分解性ATPアナログと急速凍結法を組み合わせた時間分解電子顕微鏡法の確立のために、レーザー照射後にタイミングをとって急速凍結する必要がある。急速凍結の直前にレーザーパルスをトリガーする装置が完成し、テストの結果、良好に作動することがわかった。 イメージングプレート上の画像を高速に処理するプログラム体系が整備されたので、いよいよ全体のシステムを駆使した新らしい電子顕微鏡法により筋収縮のメカニズムに肉迫した研究が始められる。
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[Publications] M.Tokunaga;M.Suzuki;K.Saeki;T.Wakabayashi: J.Mol.Biol.194. 245-255 (1987)
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[Publications] K.Sutoh;M.Tokunaga;T.Wakabayashi: J.Mol.Biol.,. 195. 953-956 (1987)
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[Publications] M.Tokunaga;K.Sutoh;C.Toyoshima;T.Wakabayashi: Nature. 329. 635-638 (1987)
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[Publications] M.Suzuki;K.Saeki;M.Tokunaga;T.Wakabayashi: Proc.Japan Acad.,. 63,Ser.B,. 385-388 (1987)
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[Publications] K.Sutoh,: Biochemisty,. 26. 7648-7654 (1987)
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[Publications] K.Hirose;T.Wakabayashi: J.Mol.Biol.204. 797-801 (1988)