1989 Fiscal Year Annual Research Report
二重ベータ・ガンマ核分光法によるニュートリノの研究
Project/Area Number |
61065005
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
江尻 宏泰 大阪大学, 理学部, 教授 (80013374)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 隆行 大阪大学, 理学部, 学振特別研究員 (80202414)
岡田 憲志 大阪大学, 理学部, 助手 (90093385)
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Keywords | ニュートリノ / 大統一理論 / 宇宙暗黒物質 / 右巻弱相互作用 / 電子崩壊 / 電荷保存則 / H粒子 / ストレンジ物質 |
Research Abstract |
二重ベータ(ββ)核分光法によりニュートリノ電子崩壊(電荷保存則)及びストレンジ粒子(H粒子)の研究が行われた。以下に要点を記す。 1 超精密の二重ベータ核分光器ELEGANTS III、IV、V号によって^<100>Moの二重ベータ崩壊、NaI結晶中の電子崩壊及び核の二核子→H粒子の二重崩壊の測定が行われた。 2 ^<100>Moのニュートリノを伴うββが初めて観測された。Preliminaryなデータと解析によると得られた半減期はT>7.6・10^<18>y(95%CL)(1.6+1.6-0.6 10^<18>)年で、この値から実験的に得られる核行列要素は種々の理論値より1桁程度小さい(禁止されている)ことが明にされた。 3 ニュートリノを伴わないββは極めて小さく上限値からニュートリノ質量leV以下が明にされた。 4 このことは、ββの関与するスピン、アイソスピン核構造がβ^-とβ^+を打ち消す効果をもたらすこと、宇宙の質量に対するニュートリノの寄与が小さく、他の可能性を示唆すること、大統一理論で期待されるニュートリノ質量はleV以下の領域にあることを示唆している。このことは素粒子、宇宙物理学問上、大きなImpactである。 5 ELEGANTS V号によるニュートノリを伴う二重ベータ崩壊の測定からニュートリノ質量で0.3eV領域が世界ではじめて探索可能であることが明になった。このことは精密核分光実験上大きな意義をもつ。 6 ELEGANTS V号のNaI結晶(740kgr)の電子崩壊e→ν+γ→2ν+ν^^ーの半減期の下限として8.3・10^<23>y、4.5・10^<22>yが得られた。一年の測定で得られる値の領域はT>1.2・10^<25>y、6.1・10^<23>yで、未知の領域の研究が可能である。 7 ELEGANTS III号及びHERMESを用いて原子核内の二核子のH粒子(uuddssクォーク系)への二重弱崩壊の上限が測定され、実験値の上限値と理論値との比較から軽いH粒子(質量<18.75MeV)存在しないことが明らかにされた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] H.Ejiri et al.: "Double Beta Decays of ^<100>Mo and Double Weak Decays with 2" Proc.Int.Yamada Symposium on Nuclear Weak Process and Nuclear Structure,World Scientific. 190 (1989)
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[Publications] H.Ejiri et al.: "Double Beta Decays of ^<100>Mo with ELEGANTS V" Proc.Int.Conf.Weak and Electromagnetic Interaction in Nuclei,1989.Montreal. (1989)
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[Publications] H.Ejiri,T Watanabe et al.: "2 ββ Half-Life of ^<100>Mo with ELEGANTS-IV" Proc.Int.Conf.Weak and Electromagnetic Interaction in Nuclei,1989.Montreal. (1989)
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[Publications] H.Ejiri et al.: "Search for the H Dyhyperon by Double Weak Decay of Nuclei" Phys.Letters. 228. 24 (1989)
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[Publications] H.Ejiri et al.: "Double Beta Decays of ^<100>Mo and Double Weak Decays with S-2" Proc.Franco-Japonais Colloque,1989 Sep.Dogashima,Japan.1989. (1989)
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[Publications] H.Ejiri and M.J.A.de Voigt: "Gamma-Ray and Electron Spectroscopy in Nuclear Physics" Oxford Science Publication, 696 (1989)