1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61065007
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
関口 睦夫 九州大学, 医学部, 教授 (00037342)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中津 可道 九州大学, 医学部, 助手 (00207820)
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Keywords | 突然変異 / アルキル化剤 / DNA修復酵素 / DNA複製 / 転写調節 |
Research Abstract |
(1)アルキル化剤に対する大腸菌の適応応答の分子的機構について研究を進め、Adaタンパクによる転写の調節について新しい知見を得た。Adaタンパクは分子量3.9万のタンパク質であるが、2つのドメインからできている。転写調節能は主としてN末端側のドメインに存在することをその部分だけをコードする遺伝子断片を作成して明らかにした。またN末端側のみもつタンパクはメチル化をうけるとada遺伝子のプロモーター領域に強固に結合し、その結果転写促進能をもつ正常Adaタンパクの結合を競争的に阻害することが明らかになった。これは適応応答の終了を説明するよいモデルになると考えられる。 (2)大腸菌のミューテーター変異を用いて、自然突然変異の制御機構について研究を進めた。AT→CGを特異的におこすmutTミューテーターの遺伝子をクローニングし、その産物を大量に発現させ、MutTタンパクを精製した。このタンパクはdGTPase活性をもっているが、精製したDNAポリメラーゼIIIのαサブユニットによるDNA合成反応において鋳型鎖上のAに対するGの誤転入を特異的に抑制することがわかった。これによってDNA複製の精度維持における新しい機構の存在を明らかにすることができた。 (3)アルキル化剤によるDNAの傷としてO^6ーメチルグアニンが注目されているが、この傷を特異的に修復するヒトの酵素のcDNAをクローニングすることに成功した。塩基配列の決定の結果このタンパクは207個のアミノ酸よりなり、活性中心付近のアミノ酸配列は微生物の酵素によく似ていることがわかった。この酵素のcDNAを発現ベクターにのせて細胞に導入することによって、ヒトおよび大腸菌の細胞ともにアルキル化剤による致死や突然変異誘起効果を効果的に抑制することができた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Masahiro Akiyama: "A specific role of MutT protein:To prevent dG・dA mispairing in DNA replication" Proceedings of the National Academy of Sciences of the U.S.A.86. 3949-3952 (1989)
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[Publications] Kunihiko Sakumi: "Regulation of expression of the ada gene controlling the adaptive response" Journal of Molecular Biology. 205. 373-385 (1989)
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[Publications] Kenichi Kodama: "Cloning and expression of the Bacillus subtilis methyltransferase gene in Escherichia coli ada cells" Mutation Research. 218. 153-163 (1989)
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[Publications] Shoichi Matsukuma: "Enhanced O^6-methylguanine-DNA methyltransferase activity in transgenic mice containing an integrated E.coli ada repair gene" Mutation Research. 218. 197-206 (1989)
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[Publications] Takashi Horiuchi: "Mutators and fidelity of DNA replication" Bull.Inst.Pasteur. 87. 309-336 (1989)
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[Publications] Kazuhiko Takahashi: "A specific inhibition of induction of adaptive response by o-vanilline,a potent mutagen" Biochemical and Biophysical Research Communication. 162. 1376-1381 (1989)