1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61117004
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊藤 道夫 名大, 理学部, 助教授 (70022671)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 一朗 横浜市立大学, 文理学部, 助教授 (60175445)
前田 桝夫 福井大学, 教育学部, 助教授 (10020140)
|
Keywords | 細胞育種 / 染色体導入 / プロトプラスト / 細胞融合 / 花粉母細胞 / 花粉 |
Research Abstract |
ある体細胞に対して外来染色体を導入することによって形質転換された細胞の育種を目的として、少数染色体を含む細胞(ミニ細胞)の形成を試みた。材料はユリ科植物花粉母細胞を使用した。減数分裂は種々な外部条件によって異常になり易く、非対合型、非キアズマ型になる。これを利用すると、異常減数分裂の結果、正常に半数性染色体数を含む四分子の代りに、不均等分配による大小の四分子、あるいは多極に分裂して多細胞の多分子になる。その場合、ミニ細胞に含まれる染色体数は半数以下で、極端な場合は染色体一本から成る核を含むミニ細胞になる。異常減数分裂誘導法として、まず前減数分裂期G2期の細胞を培養条件下に移し培養したところ、殆んどの花粉母細胞は多分子になった。最大細胞数はエンレイソウで13、ユリで16であった。これらの細胞の核に含まれる染色体数は、エンレイソウで20/13=1.5,ユリで48/16=3.0である。 ミニ細胞を形成させる方法として、分裂阻害剤(例CIPC)及び核酸・タンパク合成阻害剤(5FU)を培養液に加え、花粉母細胞を培養したところ、30〜60%の頻度でミニ細胞を誘導し得た。さらに、相同染色体の対合、のりかえに影響することが知られている高温処理を植物体に与えたところ、高度な異常減数分裂が起こり、多数のミニ細胞が形成された。 これらのミニ細胞は時期的に四分子期であるので、プロトプラスト調製の可能性を探るため、まず四分子に対し酵素処理を行い、良好な結果を得た。次いで上記のミニ細胞に酵素法を試み、生存率の高いプロトプラストの生成が可能であることを確めた。また、花粉細胞由来のプロトプラストと他種の体細胞プロトプラストとの融合条件を探るため、電気的融合法を導入し、両者の間の融合を試み、本研究の目的である体細胞への外来染色体導入は比較的容易に可能であることを確めた。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] 伊藤道夫著山田康之,岡田吉美編: 現代化学. 増刊5. 82-88 (1986)
-
[Publications] 伊藤道夫: 遺伝. 40. 21-25 (1986)
-
[Publications] I.Tanaka: Plant Science.