1986 Fiscal Year Annual Research Report
人間の言語処理過程に立脚した自然言語処理方式の研究
Project/Area Number |
61120002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤崎 博也 東大, 工学部, 教授 (80010776)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安西 祐一郎 北海道大学, 文学部, 助教授 (40051875)
波多野 誼余夫 独協大学, 教養部, 教授 (60049575)
桐谷 滋 東京大学, 医学部, 教授 (90010032)
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Keywords | 人間の言語処理過程モデル / 実験心理学 / 語句認知過程 / 難解文の処理過程 / 眼球運動 / 曖昧文の処理過程 / 文章生成過程 / モデルの機械処理への応用 |
Research Abstract |
本研究は、文章の理解と生成における人間の情報処理過定を実験的に把握し、その知見に基づいて従来よりも格段に高度な自然言語処理方式を達成することを目的として、今年度に以下の成果を達成した。 1.語句の認知過程の観測・分析とモデル化に関しては、既知語句の認知過程に重点をおき、短文の単時間呈示による被験者の文理解度等のもとに、語句の認知単位とその処理過程を具体的に明らかにするとともに、都道府県名等を利用して、既知単語認知に要する時間を測定し、脳内辞書の構成に関する知見を得た。また今回得られた知見をもとに、人間の言語理解過程のモデルの素案を作成した。今後は、未知語の意味推定過程を実験的に解明するとともに、本研究の他グループの研究成果・知見を統合し、文章理解・生成モデルを作成し、さらに機械処理への応用を試みる予定である。 2.難解文の処理過程の観測と分析に関しては、構文解析レベルの問題を対象とし、計算機表示ないしスライドにより刺激文呈示のタイミングを制御し、質問応答の反応時間を計測するシステムを作成するとともに、文理解に関連する客観的情報を得るため、眼球運動の同時計測・記録システムを作成し、予備的実験を行った。 3.瞹昧文章の処理過程の観測と分析に関しては、英文の手紙文の日本語文への素訳を依頼された事態での大学生の理解、それと訳文の産出の関係について検討し、訳語選択を相当適切に方向付けるならば、機械翻訳等においても、深い理解なしに翻訳することが可能であるとの知見を得た。 4.文章生成過程の観測・分析とモデル化に関しては、言語的説明における表現の依存性を実験的に示唆し、また文脈に依存した言語的説明を与えるシステム構築の基本的枠組みを明らかにし、これに基づき札幌市の道案内用対話システムのプロトタイプを作成した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 亀田弘之: 情報処理学会第34回全国大会講演論文集. (1987)
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[Publications] 亀田弘之: 日本認知科学会第4回大会論文集. (1987)
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[Publications] 藤崎博也: 日本音響学会音声研究会資料. Vol.86. 15-21 (1986)
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[Publications] 開一夫: 日本ソフトウェア科学会知識プログラミング研究会資料. (1987)