1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61122010
|
Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
伊藤 厚子 お茶大, 理学部, 教授 (20017180)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安岡 弘志 東大, 物性研, 教授 (50026027)
鳥養 映子 お茶の水大, 人間文化研究科, 助手 (20188832)
柴田 文明 お茶の水大, 理, 教授 (20011702)
森本 せつ お茶の水大, 理, 助手 (90017195)
|
Keywords | ミューオンスピン緩和 / ランダム磁性体 / スピングラス / スピン容易軸競合 / スピンの時空相関 / スピンダイナミックス |
Research Abstract |
研究実施計画に沿って、異方性競合系および交換相互作用競合系ランダム磁性体の(相)転移に関わるスピンの動的振舞について研究を行った。μSR法の適用によって,他の測定手段一磁気測定,メスバウワー分光,中性子散乱一で求をられていた結果と相補的な知見が得られて、相互作用競合系の理解が一歩前進した。しかし依然として、多数の争点が残っている。スピンの時空相関の情報はランダム系の磁性の解明に重要であると考えられるので、今後さらにμSR法による研究を発展させる計画である。本年度の成果を以下に箇条書きにまとめる。1.異方性競合系 本特定研究が開始される前から行っていた研究を発展させた。試科は【Fe_(0.6)】【Co_(0.4)】【TiO_3】で、スピンダイナミックスの磁場依存性を調べた。今回測定した3KOeまででは変化がなく、この程度の外場では【Fe_(0.6)】【Co_(0.4)】【TiO_3】系のスピンの動的性質は影響を受けないことが明らかになった。2.交換相互作用競合系 (1)スピングラス凍結の機構解明を目指して、イジング型スピングラス【Fe_(0.5)】【Mn_(0.5)】【TiO_3】を試科として、μSR法によりスピン揺動の研究を行った。(1)グラス転移温度Tgにおいて緩和率が著しく増大する。(2)T《Tgにおいてもなお0.1【(μS^(-1))】程度の緩和率が残っており、μSR法の観点からはグラス状態でスピンは揺いでいることが示唆された。帯磁率の鋭いカスプで象徴される"スピングラス凍結"との関わりは今後の研究課題である。(3)Tg近傍での緩和率の増大の様子は試科の履歴に依存することが明らかになった。違か40Oeの磁場中で冷却しても、零磁場冷却の場合に比べて緩和率の増大が仰えられる。履歴依存性が徴視的手段で捉えられたのは初めてである。(2)本特定研究で講入した赤外線集中加熱炉を用いて、Fex【Mm_(-x)】Ti【O_3】(0≦X≦1)の単結晶を作製して、磁化測定により濃度一温度相図をきめた。リエントラントスピングラスの出現が確認されたので、リエントラント転移の起源を探る目的で、μSR法による研究を行う予定である。
|
Research Products
(1 results)