1986 Fiscal Year Annual Research Report
ホルモン及びその他の腫瘍抗原の診断及び治療への応用に関する研究
Project/Area Number |
61210013
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井村 裕夫 京大, 医学部, 教授 (10025570)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 薫 国立がんセンター, 部長 (60076990)
中村 浩淑 京都大学, 医学部, 助手 (60164331)
福田 善弘 京都大学, 医学部, 助手 (50127130)
中井 義勝 京都大学, 医学部, 講師 (10115892)
森 徹 京都大学, 医学部, 助教授 (40026894)
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Keywords | ホルモン / ACTH / CRF / 単クローン抗体 / 腫瘍マーカー / 癌遺伝子 / EGF / EGFレセプター |
Research Abstract |
単クローン抗体の腫瘍診断への応用について検討した。まずFH-6抗体を用いるRIA系で血中腫瘍抗原の検討を行い、すでに一般に用いられているCA19-9やCEAと比較した。その結果FH-6は肺腺癌、膵癌、卵巣癌などで陽性率が高く、他のマーカーに比し、偽陽性は少なかった。従ってこの抗体は臨床に応用しうることが明らかとなった。次に肝癌に対する単クローン抗体を作製するため肝癌細胞より糖脂質を分離した。とくに酸性糖脂質をマウスに注射して3種の単クローン抗体を得た。うち2つはポリシアロ糖脂質に対する抗体であった。酵素イムノアッセイを用いて検討すると、これら抗体は肝癌細胞によく反応し、臨床応用が期待できるものであった。次に肝癌細胞の増殖の機序を明らかにするため、肝癌において癌遺伝子のの測定を行うとともに、培養肝癌細胞で上皮成長因子(EGF)とそのレセプターの検索を行った。肝癌においてはC-mycの発現が正常肝組織に比し有 に増加していたが、C-fos、C-ras、N-myc、A、ablなどの癌遺伝子は正常と異らなかった。また5種の肝癌細胞でメディウムにEGFを認め、同時にEGFレセプターも証明した。従ってEGFはautocrlneの機構で、肝癌細胞の増殖に働いている可能性が考えられた。次に腫瘍においてACTH、CRFなどのホルモンを検出して来たが、その前駆体のmRNAも組織から証明し得た。そこでホルモン産生の機構を明らかにするため、ACTH前駆体遺伝子をマウス下垂体細胞、腺維芽細胞に導入したところ、前者で正常の発現を認めた。またステロイドによりリン発現は抑制された。従って組織による特異的なホルモン遺伝子発現の機構が存在することは明らかであり、一部の腫瘍ではそれと類似した発現機構のためにホルモンが作られるものと考えられた。
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[Publications] 福田善弘: 肝臓. 26. 1550- (1985)
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[Publications] 福田善弘: 日本消化器病学会雑誌. 82. 120- (1985)
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[Publications] Imura,H.: Clinics in Eudocrinology and Metabolism. 14. 845-866 (1985)
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[Publications] 神奈木玲児: 医学のあゆみ. 136. 381-382 (1986)
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[Publications] 加藤讓: 神経内科. 24. 349-358 (1986)
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[Publications] 平岡真寛: 外科診療. 28. 1057-1062 (1986)
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[Publications] 姫野泰雄: 肝臓. 27. 525- (1986)
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[Publications] 小東克次: 肝臓. 27. 1444-1450 (1986)
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[Publications] 長谷寛二: 日本消化器病学会雑誌. 84. 128- (1987)
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[Publications] Fujita,J.: Cancer. 57. 860-865 (1986)
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[Publications] Kannagi,R.: Canocer Research. 46. 2619-2626 (1986)
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[Publications] Itoh,H.: Eur.J.Nucl.Med.11. 502-504 (1986)