1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61210017
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松原 謙一 阪大, 国立大学(その他), 教授 (20037394)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三輪 正直 国立がんセンター, 研究所, 副所長 (20012750)
釣本 敏樹 大阪大学, 細胞工学センター, 助手 (30163885)
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Keywords | B型肝炎ウイルスの増殖 / 培養肝細胞 / デーン粒子 / オンコジン / lcaの活性化 |
Research Abstract |
(1)B型肝炎ウイルス増殖の解析が行える培養細胞系の樹立。 本ウイルスはヒト肝蔵でのみ増殖し、実験動物や培養細胞では全く増殖しないのでその解析が極めて困難であった。そこで、本ウイルスゲノムDNAをタンデムに連結したDNA分子を作製し、それを培養肝細胞に取り込ませて選択したトランスフオーマントの中から、ウイルスの産生を行うものを検索して、これを分離・確立した。得られた細胞株は安定で、肝内と同様に転写,複製,タンパク合成を起こし、その上にデーン粒子(感染性粒子)と全く形態的に区別のつかない粒子を産生・放出した。この粒子はDNAをも持っており、いずれチンパンジーを用いた実験が可能となれば感染性の有無もテストできるものと考えられる。この系の確立により、B型肝炎ウイルスの増殖過程とそこに働く調節のしくみを解析する道が拓かれた。本年度はこれを用いて、RNA合成の開始点(3カ所)と終結点(1カ所)を決定したほか、増殖中間体においてどのようなDNA分子が作られているかを明らかにした。 (2)ヒト肝癌より得られた新しいオンコジンの研究。 3T3細胞をトランスフオームする能力を持ったオンコジン(lca)を昨年度に得ることができたので、本年はさらにその性質を検討した。先ず、lcaに対応する正常遺伝子を純化し、これが活性型lcaと殆んど違わないことから、このオンコジンの活性化は遺伝子の再編成によるのではなく、小領域の変異によるものであるとの予備的知見を得た。そこで活性lcaと正常lcaとの合いの子DNA分子の検討に移り、その結果活性化はlcaDNAの約1/5以内の特定な領域の変化によることを明らかにした。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] A.Miyanohara;T.Imamura;M.Araki;K.Sugawara;N.Ohtomo;K.Matsubara: J.Virology. 59. 176-180 (1986)
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[Publications] T.Ochiya;A.Fujiyama;S.Fukushige;I.Hatada;K.Matsubara: Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.83. 4993-4997 (1986)
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[Publications] T.Tsurimoto;A.Fujiyama;K.Matsubara: Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.83. 444-448 (1987)