1986 Fiscal Year Annual Research Report
細胞成長因子の作用機構並びにその発がん遺伝子との関連の解析
Project/Area Number |
61210021
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
西塚 泰美 神戸大, 医学部, 教授 (10025546)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 潮 神戸大学, 医学部, 講師 (40150354)
岸本 明 神戸大学, 医学部, 講師 (60127363)
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Keywords | 細胞成長因子 / 発がん遺伝子 / 蛋白質リン酸化酵素 / 遺伝子クローニング |
Research Abstract |
発がん遺伝子の構造解析の結果から、細胞のがん化機構は細胞成長因子の情報伝達と密接に関連していることが明らかにされており、がん化機構の理解には正常の情報伝達機構を解明することが必須といえる。私共は細胞増殖や細胞機能の亢進を導く各種の生理活性物質の情報伝達機構において情報増幅の中心的役割を果たしている蛋白質リン酸化酵素,protein kinase Cがホルボールエステル等の発がんプロモーターの受容体として作用していることを明らかにしている。本年度は、咋年度にひき続き、このprotein kinase Cの構造解析から得られた部分アミノ酸配列を用いて本酵素の遺伝子クローニングを行ない、protein kinase Cの全一次構造を明らかにした。即ち、protein kinase Cの部分アミノ酸配列より、2種類の17オリゴヌクレオチドのプローブを作製し、遺伝子ライブラリーよりこれらのプローブの配列を含むクローンを1種類、単離した。このクローンはprotein kinase CのC末端側の約3分の1の構造を含んでおり、このクローンの5'側のフラグメントをプローブとして用い、最終的にprotein kinase Cの5'側非転写領域までをコードするクローンを得た。protein kinase Cは、その分子構造のC末端側にATP結合領域を含む蛋白質リン酸化酵素に共通の構造を持ち、N末端側にシステインを多く含む酵素活性調節に関連していると考えられる配列を有することが明らかとなった。このprotein kinase Cの構造は、蛋白質リン酸化酵素としての共通構造は有するものの、従来報告されている発がん遺伝子産物との相同性は認められなかった。また遺伝子クローニングの過程において、protein kinase Cには、同一の遺伝子からalternative splicingにより2種類のmRNAが転写されることが明らかとなった。以上の結果より、protein kinase Cの分子構造が明らかとなり、遺伝子工学的手法による本酵素の機能の解析が可能となり、本研究の所期の目的を達成した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Nishizuka,Y.: Science. 233. 305-312 (1986)
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[Publications] Kikkawa,U.: Ann.Rev.Cell Biol.2. 149-178 (1986)
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[Publications] Kikkwa,U.: Biochem.Biophys.Res.Commun.135. 636-643 (1986)
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[Publications] Nomura,H.: Biochem.Biophys.Res.Commun.140. 1143-1151 (1986)
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[Publications] Ono,Y.: FEBS Lett.206. 347-352 (1986)
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[Publications] Kitano,T.: J.Neurosci.(1987)