1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61210027
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
高月 清 熊本大, 医学部, 教授 (80026830)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
真田 功 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (20154122)
服部 俊夫 熊本大学, 医学部, 講師 (30172935)
山口 一成 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (20128325)
|
Keywords | 成人T細胞白血病 / ATL / レトロウィルス / HTLU-I |
Research Abstract |
成人T細胞白血病(ATL)は九州,沖縄などに多発する予後不良の疾患であり、活性化された末梢性ヘルパーT細胞の腫瘍である。ATLの発症にはレトロウィルスHTLV-Iが関与していることは以前の研究より明らかであるが、その腫瘍化のメカニズムに関しては不明のまゝである。ATLではその病像の特徴として、肝脾腫,皮膚症状,高カルシウム血症が挙げられる。高カルシウム血症については破骨細胞刺激因子の関与が示唆されていたが、われわれは患者の臨床所見と剖検時の骨の病理学的検討によりATLの高カルシウム血症の解析を行なった。また、ATL患者では好中球増多もしばしば見られるが、ATL細胞の産出するリンホカインの観点から検討を加える試みを行った。すなわちATL由来因子(ATL derived factor)(ADF)を急性骨髄性白血病細胞に添加して培養するとある種の細胞はADFに反応して分化増殖が促進される。したがってADFがATLにおける好中球増多の原因となっているかも知れない。ついで、ATL細胞の表面抗原の一つT3が正常T細胞より減少している事実について検討を行なった。すなわちT3はT細胞受容体と結合して複合体を形成しているが、抗T3抗体によってこの複合体が減少する(down-regulation)現象が見られることを確認した。さらにサザン法によるT細胞受容体β遺伝子の解析を行ない、その再構成がATL27例,non-ATL T細胞腫瘍17例の全例において証明された。また、ATL2例およびT-ALL1例よりgenomic libraryを作製し、Vβ遺伝子を単離したが、ATL細胞で特有のVβ遺伝子が使用されている可能性は少ないものと考えられた。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 麻生範雄: Cancer. 58. 903-907 (1986)
-
[Publications] 松岡雅雄: Leukemia Research. 10. 597-603 (1986)
-
[Publications] 山本晴香: Jpn.J.Cancer Res.77. 858-861 (1986)
-
[Publications] 帖佐徹: Leukemia Research. 10. 605-110 (1986)
-
[Publications] 山本晴香: Blood. 67. 1714-1720 (1986)
-
[Publications] 松岡雅雄: Blood. 67. 1070-1076 (1986)