1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61211025
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
真鍋 修 長崎大, 工学部, 教授 (70100972)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 香緒 長崎大学, 工学部, 教務職員 (70168623)
新海 征治 長崎大学, 工学部, 助教授 (20038045)
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Keywords | 芳香族炭素資源 / フェノール・ホルムアルデヒド樹脂 / カリキサレン / 水溶性ホスト化合物 / 界面活性剤 |
Research Abstract |
重質油や石炭中に含まれる芳香族炭素資源を付加価値の高い化合物に誘導し、高度利用を計る目的より、フェノール類を原料とする環状化合物「カリキサレン」を種々合成し、機能性化合物として応用する研究を実施した。まず、環状四量体から環状八量体までの環サイズの異なるカリキサレンを合成し、その合成条件の最適化を行なった。これらのカリキサレンを基体として芳香族置換反応を利用して種々の誘導体を合成した。パラ位にニトロ基をもつカリキサレンは水酸基の解離に伴って吸収スペクトルが多様に変化し、水酸基の第1解離はpKa<O、第4解離はpKa>14という興味ある性質を示した。パラ位にスルホン基あるいはアンモニウム基をもつカリキサレンは水溶性であり、水溶液中において種々の有機物とホスト・ゲスト型の錯体を形成した。これらの水溶性カリキサレンの水酸基に脂肪族長鎖を導入すると、非常に可溶化力の高い界面活性剤として作用した。特に、通常の界面活性剤が効果を示さない高温条件下でも、界面活性能力を示した。パラ位にスルホン基、水酸基上にドデシル基をもつ水溶性カリキサレンは、水溶液中で一分子ミセルとして挙動する新規な性質を示した。この一分子ミセルはジアゾニウム塩と安定な錯体を形成し、その反応性および熱分解速度を抑制することを見い出した。これは、カリキサレンの筒状構造の端に並んだスルホン基がジアゾニウム塩を安定化する効果を示したためと考えられる。一方、水酸基上に金属配位子として作用する官能基をもつカリキサレンは、金属イオンに対して選択的な環状配位子として働くことが明らかとなった。これらのカリキサレンはイオノファとして作用し、金属イオンの選択的抽出や輸送に応用が可能となった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] S.Shinkai: J.Chem.Soc.,Chem.Commun.233-234 (1986)
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[Publications] S.Shinkai: J.Am.Chem.Soc.,. 108. 2409-2416 (1986)
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[Publications] S.Shinkai: Chem.Lett.1351-1354 (1986)
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[Publications] S.Shinkai: J.Chem.Soc.,Chem.Commun.923-924 (1987)