1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61213008
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
土山 明 京大, 理学部, 助手 (90180017)
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Keywords | 地球 / 惑星 / 始源物質 / 原始太陽系星雲 / 蒸発作用 / 凝縮作用 / 再現実験 |
Research Abstract |
地球を初めとする惑星の始源物質として、原始太陽系星雲内での高温ガスからの凝縮物が考えられるが、このような凝縮過程に関する実験的な研究はほとんどおこなわれてこなかった。本研究は、高温での蒸発作用やガスからの凝縮作用の再現実験とそれらの生成物の研究から、原始太陽系星雲内での凝縮相一気相の分化過程を明らかにし、惑星の始源物質についての手がかりを得ることを目的としている。 蒸発・凝縮作用の再現実験のために真空高温炉を製作したが、研究費一部をその部品のために用いた。試料の蒸発源の部分と蒸発によって生成されたガスの凝縮部の温度較正等のテスト実験をおこない、真空高温炉の性能のチェックをおこなった。しかしながら、初期故障のために、実験パラメータを色々と変えた本格的な実験をおこなうにはまだ至っていない。 宇宙組成に近い単純な系(MgO-Si【O_2】系)について微細な凝縮物(数μm以下)が得られたので、これについて電子顕微鏡による研究をおこない、急速な凝縮作用においても熱力学的に安定なMgSi【O_3】相(プロトエンスタタイト)が気相成長することが明らかとなった。このような原始太陽系に近い条件での凝縮生成物に関する研究はこれが初めてである。また、オリビン結晶の粗大化が見いだされ、従来考えられていたような数μm以下の微細な結晶だけでなく、大きな結晶も微惑星の原材料となった可能性が指摘された。結晶が大きいほど固一気分別作用はおこりやすく、惑星の原材料物質の化学組成変化を説明できるかもしれない。 今後の研究として、上述した単純系の他に複雑な系についても実験をすすめ、原始太陽系星雲での分化過程をより明らかにしたい。
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