1986 Fiscal Year Annual Research Report
リンパ球受容体刺激の伝達機構におけるカルシウムイオンの役割
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61215026
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
尾上 薫 熊本大, 医学部, 教授 (60037497)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 雄正 熊本大学, 医学部, 助教授 (10158313)
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Keywords | Tリンパ球活性化 / IL2mRNA産生誘導 / Tリンパ球抗原受容体刺激伝達 / プロテインキナーゼC / Tリンパ球カルシウム動員 / フォルボールエステル / IL2遺伝子発現 |
Research Abstract |
免疫機能を担うリンパ球は通常は休止していて、抗原やマイトゲンの刺激により増殖,成熟してはじめて特有の機能を現わす点で特徴的である。Tリンパ球の増殖には刺激によってヘルパーT細胞から分泌されるインターロイキン2(IL2)が重要な役割を果しているので、本研究では、T細胞の受容体に対する抗体(抗T3抗体)やレクチン刺激によるIL2遺伝子の発現を、IL2CDNAとのハイブリッド形成法によるIL2mRNAの測定によって調べ、刺激伝達の過程に【Ca^(2+)】イオンの変動とプロテインキナーゼC(Cキナーゼ)が関与することを証明することを主目標とし、以下の成果が得られた。 1)T細胞の抗原受容体を抗T3単クローン抗体で刺激すると、マクロファージ存在下ではIL2が産生され、それは発癌プロモータであるTPAで著しく増強される、TPA存在下でIL2産生の刺激条件を詳細に調べた結果、刺激の信号発生には少なくともT細胞上の抗原受容体と細胞又は粒子上に固着した抗T3抗体間の多価の相互作用、おそらくは受容体の架橋が必要なことが明らかになった。2)IL2mRNAの誘導には刺激によるTリンパ球内【Ca^(2+)】の上昇が必要である。3)Tリンパ球をTPAで刺激するとCキナーゼの分布が細胞質から細胞膜へと移行する。これはおそらくCキナーゼの活性化と関連した現象と考えられる。Tリンパ球をマイトゲンとTPAで刺激する際にCキナーゼの阻害剤H-7を加えるとIL2mRNAの産生が抑制された。対照試薬HA1004に抑制効果のないこと、プロスタグランディン【E_2】でむしろ抑制されること、等から、H-7の効果はCAMPやCGMP依存性プロテインキナーゼの阻害によるものではないと考えられる。以上より、IL2遺伝子発現には【Ca^(2+)】上昇と共にCキナーゼの活性化が関与すると結論された。今後、このような細胞膜からの刺激伝達が遺伝子発現の細胞核内過程やmRNAの安定性にどう関わるのか研究を進めたい。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] YAMAMOTO,Yusei: Journal of Biochemistry. 100. 333-340 (1986)
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[Publications] FUJIMOTO,Kouji: Microbiology and Immunology. 30. 561-572 (1986)
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[Publications] ARIMA,Naomichi: Blood. 68. 779-782 (1986)
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[Publications] 尾上薫: 細胞工学. 5. 3-13 (1986)
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[Publications] 山本雄正 著 山村雄一 編集: "免疫の研究 IL2の構造と産生制御" 同文書院, 17 (1986)