1986 Fiscal Year Annual Research Report
RNA依存RNA合成酵素系による転写シグナルの認識
Project/Area Number |
61216001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
水本 清久 東大, 医科学研究所, 助教授 (80092344)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 憲太郎 東京都臨床医学総合研究所, 医化学研究部, 部長 (90009986)
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Keywords | RNAウイルス / RNA依存RNA合成酵素 / センダイウイルス / HVJ / キャップ構造 / 宿主因子 / 微小管 |
Research Abstract |
RNA型動物ウイルスがもつRNA依存RNA合成酵素による転写反応の分子機構を明らかにすることを目的に、非分節マイナス鎖RNAをゲノムにもフセンダイウイルス(HVJ)を用いてin vitro転写系を確立し、その反応を解析して以下の結果を得た。 (1)マイナス鎖RNAウイルスは、通常、ウイルス粒子中にウイルスゲノムでコードされるRNA依存RNA合成酵素を含んでおり、in vitroでmRNA合成活性を有する。しかし、HVJの場合、粒子だけでは全く転写活性を示さず、RNA合成が起るためには宿主(HeLa細胞)由来のタンパク質性因子を必要とすることを見出した。(2)in vitroで合成されるRNAのサイズはin vivo mRNAとほぼ同一(18s種および12s種)であり、3'末端にポリA鎖を、5'末端にキャップ構造を有した。また、ゲノムマイナス鎖RNAとのアニーリング実験から、in vitro RNAはプラス鎖であり、その時形成される2重鎖RNAのサイズから、正確な領域からの転写が起っている事が示された。(3)in vitro mRNAのキャップ構造を分析した結果、【m^7】GpppAmが唯一のキャップ構造として検出された。しかも、この構造はin vivo mRNAのキャップと全く同一であった。すなわち、in vitro系でも正しい5'末端修飾が起っており、HVJmRNAのすべての分子種はAで開始していると思われる。又、このAはHVJゲノムにある6つの遺伝子すべての5'上流に隣接する共通配列Rl(UCCCACUUUC)の左端のuに対応するものと推定された。(4)転写促進活性(宿主因子)はHeLa細胞のみならず、他の動物細胞、さらには植物細胞にも存在した。すなわち、HVJは真核細胞に普遍的に存在するタンパク質をその転写系に利用していると思われる。HeLa細胞の因子を部分精製したところ、活性は複数の成分からなり、そのうちの1つは微小管画分に存在した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] A.Honda et al.: J.Biol.Chem.261. 5987-5991 (1986)
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[Publications] A.Ishihama et al.: J.Biol.Chem.261. 110417-1042 (1986)
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[Publications] Y.Yoshikawa et al.: J.Gen.Virol.67. 2807-2812 (1986)
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[Publications] N.Ishida et al.: Nucleic Acids Res.14. 6551-6564 (1986)