1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61216003
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
水野 猛 名大, 農学部, 助教授 (10174038)
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Keywords | 大腸菌外膜タンパク質の合成 / 正の調節因子 / 遺伝子の発現調節 / 遺伝子の活性化 / 遺伝子のプロモーター構造 / DNAの構造 |
Research Abstract |
本研究は大腸菌における遺伝子発現調節系の中で、正の調節因子(アクチィベーター)として特に興味深い側面をもつOmpRタンパク質による外膜タンパク質遺伝子ompC,ompFの発現調節系を解析することにより、正の調節因子による遺伝子の活性化の分子機構にアプローチしたものである。(1)、OmpRタンパク質の精製とompC,ompFプロモーターDNAへの結合;OmpRタンパク質の多量生産系を確立し、OmpRタンパク質を均一に、かつmgの単位で精製した。精製されたタンパク質の分子量、アミノ酸組成、N-末端のアミノ酸一次配列は、すでににDNA塩基配列から推定されていたものとよく一致した。精製OmpRタンパク質はモノマーとして存在していた。精製OmpRタンパク質は、ompC及びompFプロモーター領域を含む各々のDNA断片に特異的に結合することが証明された。また、さらに詳細な解析により、結合領域は各々のプロモーターの-35領域の上流であることが示された。以上の結果から、正の調節因子OmpRは、ompC及びompF遺伝子のプロモーター上流領域に直接結合して、両遺伝子の活性化をもたらすものと結論した。(2)、ompCプロモーター構造の解析;すでに前年度において、ompFプロモーターの構造に関しては明らかにしてきた。本年度は、ompC遺伝子の発現調節に重要なプロモーター構造を明らかにした。まずompCプロモーター近傍をlacZ遺伝子に結合した。次いでompCプロoモーター領域の一連の塩基欠失変異を作成し、その最少領域を決定した。大腸菌プロモーターの共通構造(-35,-10領域)が決定されたが、その領域のみでは十分なompC転写活性は得られず、さらにその上流領域(約60塩基対)を必須とすることが明らかになった。以上の結果をompFプロモーターの構造と比較することにより、ompC,ompF両遺伝子の発現に重要な領域と、そのDNA構造上の各々の特徴を明らかにすることができた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 奈良太: Mol.Gen.Genet.202. 194-199 (1986)
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[Publications] 奈良太: Mol.Gen.Genet.205. 51-55 (1986)
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[Publications] 水野猛: J.Bacteriol. 168. 86-95 (1986)
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[Publications] 松山伸一: J.Bacteriol. 168. 1309-1314 (1986)
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[Publications] 趙閠来: J.Biol.Chem.261. 615252-1525 (1986)
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[Publications] 水野猛: J.Biochem.101. 387-396 (1987)