1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61219007
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
平賀 紘一 富山医薬大, 医学部, 教授 (40004733)
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Keywords | 高グリシン血症 / ヒト発現ライブラリー / グリシン開裂系 / cDNAクローニング |
Research Abstract |
動物でグリシンの代謝分解の主経路として働くグリシン開裂系の活性欠失により、ヒトでは、グリシンの病的代謝状態として高グリシン血症が観察される。本酵素系はP-蛋白,T-蛋白,H-蛋白,L-蛋白と略称される四種の構成酵素から成る複合酵素系なので、高グリシン血症の症例では原因となる数種の障害酵素型が報告されている。それらの障害酵素遺伝子上の変異を解析するため、次の研究を行なった。 1)ヒト肝cDNAライブラリーの調製:障害酵素遺伝子の構造解析には、先づ正常遺伝子の構造を知り、次に両者の比較を行う必要がある。また、遺伝子の単離のために、その産物蛋白をコードするmRNAのcDNAをプローブとして使う。そこで、ヒトのグリシン開裂系構成酵素cDNAクローン化に必要な肝cDNAライブラリーを外科的試料から得たヒトmRNAを鋳型として、GublerとHoffmanの方法で作製した二重鎖cDNAとλgt11を用い作製した。2)ヒトH-蛋白cDNAのクローン化:ヒトH-蛋白は抗ラットH-蛋白抗体と反応し、インム1ブロット法で明瞭なバンドを検出できた。この抗体をプローブとして、前述のライブラリーを検索した結果、750塩基長のcDNAインサートを持つクローンを含め、6種のクローンを得た。これらの中で500塩基長以上の長さを持つインサートは、成熟型H-蛋白のアミノ末端領域の部分的一次構造に対応する塩基配列を含むことから、全てH-蛋白cDNAであると判断された。 3)H-蛋白cDNAの構造決定:750,610,350の各塩基長の三種のcDNAインサートを別々にサブクローニングした(pHH15b,pHH10,pHH3)。現在、それらの塩基配列をサンガー法で決定しつつある。また、比較解析の材料として既に鶏H-蛋白cDNAをクローン化し構造決定を終了した。
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