1986 Fiscal Year Annual Research Report
ドップラー広がりの無い吸収線を用いた半導体レーザー周波数の超高安定化
Project/Area Number |
61221009
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藪崎 努 京大, 国立大学(その他), 助教授 (60026127)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北野 正雄 京都大学, 超高層電波研究センター, 助手 (70115830)
小川 徹 京都大学, 超高層電波研究センター, 教授 (60025822)
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Keywords | 半導体レーザー / 飽和吸収分光 / 周波数安定化 |
Research Abstract |
アルカリ原子の飽和吸収スペクトルを利用した半導体レーザー周波数安定化システムの小型化、性能向上を計り、また制御系における誤差信号をレーザー周波数を変調することなしに得る方法の開発を行なった。(1)レーザー温度を高感度、高精度で検出し、それをレーザー温度制御用のペルチェ素子に帰還させた。2つのペルチェ素子を用いることにより、レーザー温度変化を【10^(-4)】℃以下にし、周波数変化を1MHz程度に押えた。更にレーザー電流制御のためCsの【D_2】線(852nm)やRbの【D_1】、【D_2】線(795nm、780nm)のドップラー広がりの無い飽和吸収信号を利用した。全ての光学素子を小さな光学台(約10cmX10cm)に固定し、光センサーの光源に適した小型、可搬のものを製作した。また温度制御、電流制御に全てPID制御(比例、積分、微分制御)を施し、制御パラメータ最適化を行った。以上のようにして、小型、可搬の光学系を製作ししたが、その長期周波数変動Δf/fを【10^(-13)】以下となった。(2)上記の飽和吸収スペクトルを利用した周波数安定化では、誤差信号を得るためにレーザー周波数を微少に変化させている。しかし多くの光センシングではそのような周波数変調は望ましくない。そこでレーザーから出た光を円偏光にし、その偏光方向を変調させる(実際には光軸方向の磁場の極性を変調する。)ことにより、ドップラー広がりの無いスペクトル線の微分形を得るという全く新しい方法を開発した。この方法においても上記と同様、あるいはそれ以上の安定度が得られた。(3)レーザー周波数を直接変調せず、円偏光の偏光方向を変調することにより得られる誤差信号を用いて、CsやRbのD線での周波数安定化を行った。(4)スペクトルの狭帯域化をファブリ・ペロ干渉計を周波数弁別器として用い、この出力を広帯域増幅器を通して、半導体レーザーの注入電流に帰還する方法により行った。
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Research Products
(2 results)