1986 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
61222005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
近藤 保 東大, 理学部, 助教授 (10011610)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 宏樹 分子科学研究所, 教授 (10010935)
永田 敬 東京大学, 理学部, 助手 (10164211)
鈴木 薫 東京大学, 理学部, 助手 (20134447)
朽津 耕三 東京大学, 理学部, 教授 (30011456)
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Keywords | ミュオニウム / 二酸化炭素 / ミュオンスピン回転 / ミュオンスピン緩和 / ミュオニウムの化学反応 |
Research Abstract |
ミュオニウムMuの質量が水素原子の1/9である点に着目し、本年度は以下の研究を行なった。 1.Mu+N【O_2】系。アルゴン気体中にMuを生成し、N【O_2】との化学反応を調べた。その反応の速度定数をMuスピンの横緩和速度と縦緩和速度から求めた。N【O_2】のスピンによるMuの緩和速度を測定することができた。この値を利用してMuとN【O_2】の化学反応の断面積を求めると、【〜!>】5×【10^(-16)】【cm^2】となる。H+N【O_2】に対する反応の断面積が5×【10^(-16)】【cm^2】であるので、Mu+N【O_2】の反応系は動力学的同位体効果が存在しているものと推論できる。 2.Mu+【O_2】/【Br_(2o)】気相中におけるMu+【O_2】/【Br_2】系に対するMuスピンの緩和速度を測定し、Mu+N【O_2】反応の解釈に用いた。Mu+【O_2】系では、Muスピンは主に【O_2】のスピンによって緩和する。一方Mu+【Br_2】系では、【Br_2】が反磁性的であるので、主として化学反応のみが起こっている。このような特微を持つ系におけるMuスピンの緩和速度を測定し、Mu+N【O_2】系と比較検討した。N【O_2】はスピンを持っていると同時にMuとも効率よく反応するので、このような比較により、1の実験における解釈が妥当であるかどうかを検証することができる。1と2の結果に矛盾がないことが明らかになった。 3.Mu+N【O_2】系のミュオンスピン共鳴 Mu+N【O_2】の反応をさらにくわしく調べ、反応生成物が予想しているようにMuOであるかどうかを確かめる目的で、アルゴン中に生成したMuのスピン共鳴実験を試みた。現在まだ共鳴信号は得られていない。信号が得られた段階でN【O_2】をアルゴン中に導入し、その効果を調べる予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] M.Kitamura;K.Nakagawa;K.Suzuki;T.Kondow;K.Kuchitsu;T.Munakata;T.Kasuya: J.Phys.Chem.90. 1589-1592 (1986)
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[Publications] T.Kondow;K.Kuchitsu;N.Nishiyama;K.Nagamine: Atomic Collision Research in Japan,Progress Report. 12. 78-81 (1986)
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[Publications] K.Nakagawa;M.Kitamura;K.Suzuki;T.Kondow;K.Kuchitsu;T.Munakata;T.Kasuya: Chem.Phys.106. 259-268 (1986)
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[Publications] H.Ito;Y.Fukuda;Y.Ozaki;T.Konodow;K.Kuchitsu: J.Mol.Spectrsc.
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[Publications] T.Kondow;A.Matsushita;K.Kuchitsu;K.Nishiyama;Y.Morozumi;K.Nagamine: Hyp.Int.32. 807-812 (1986)
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[Publications] T.Kondow;A.Matsushita: ""Interdiciplinary Regions and Nuclear Physics",eds.M.Fujiwara et al.,RCNP-P" 大阪大学核物理センター, 12 (1986)